Vectorworksの作図機能
01ファイル構成
レイヤ・クラス
Vectorworksには、ドローイングソフトで馴染みのある「デザインレイヤ」に加え、部材の種類分けなどに利用可能な「クラス」を持っています。レイヤとクラスをうまく使い分けることで、プロジェクト内の各オブジェクトを自由に仕分けることが可能です。
建物を例にとると、各階をレイヤで分け、建材ごとにクラスを割り当てます。こうすることで、「1階の壁」や「2階の床」といった具体的なオブジェクトの指定ができます。

ビューポート・シートレイヤ
モデルを図面化するのに必要なのが「ビューポート」と「シートレイヤ」です。デザインレイヤ上で作図・モデリングしたものを、表示状態を維持したままビューポートとしてシートレイヤに作成します。ビューポートはデザインレイヤ上のオブジェクトを参照しています。設計変更の場合は、デザインレイヤのオブジェクトを修正することで、シートレイヤの図面(ビューポート)を更新して最新状態にできます。
オーガナイザダイアログボックス
「登録ビュー」や「ファイル参照」など、Vectorworksファイルを構成する要素があります。これらを「オーガナイザ」ダイアログボックスで管理します。各要素の詳細設定だけでなく、ファイル内での表示設定もこのダイアログボックスで定義できます。

単位・寸法設定 
Vectorworksでは作図に必要な「単位」や「寸法規格」を設定でき、ご利用状況に合わせたカスタマイズが可能です。バージョン2025では、寸法に単位設定の概念を導入することで、ファイルで設定している単位とは異なる単位を寸法に設定することが可能です。

022D作図と加工
基本作図
Vectorworksでの作図は直感的です。作成したい図形のツールを選択し、画面上でクリックすることで作成できます。直線以外の図形はすべて面属性を持っているため、フローリングの上にテーブルを作成する場合、隠れる部分を削除することなく、テーブル図形を重ねるだけで表現できます。
また図形同士の重なり順や切り貼りによって、シンプルな形状から複雑なものまで作成可能です。

配列複製・ポイント間複製
図形を繰り返し並べたい場合は、「配列複製」や「ポイント間複製」が効率的な作業をサポートします。

変形ツール
「変形」ツールを使うことで、任意の頂点や辺を移動し、細やかな編集作業ができます。各オブジェクトは縮尺に応じたサイズを持っているため、作図前、作図途中、作図後を問わず数値による指定が可能です。

03グラフィック表現
属性設定
線図形と面図形は、その属性として「ラインタイプ」や「カラー」「ハッチング」「グラデーション」「イメージ」などを定義できます。また、RGB、HSV、CMYKでの色指定が可能なほか、「不透明度」や「ドロップシャドウ」を表現でき、表情豊かなプレゼンテーションを支援します。

イメージエフェクト機能
取り込んだ画像の表示したい部分だけをクロップできるため、プレゼンテーションボードのコラージュなどにも利用可能です。さらにイメージエフェクト機能により、露出やコントラスト、彩度や色温度など主要なパラメータを調整できるので、画像編集ソフトは必要ありません。

043Dモデリング
3D オートプレーン機能
2Dの基本作図ツールで描いた作図面を持ち上げてそのまま3D化でき、2D作図と同様に直感的なモデリングを実現します。オートプレーン機能によって3D空間内のあらゆる面を基準にモデリングできます。作成したモデルは噛み合わせたり削り取ったりすることで、より詳細なモデルにできます。また「テーパ」や「デフォーム」を使って、ひねったり曲げたり自在に編集可能です。

NURBS曲線・曲面
自由曲面はNURBSを利用します。空間内の複数のNURBS曲線をつなげることで3D曲面を作成でき、任意の値を指定してソリッド化もできます。
3Dドラッガーを使って変形をすることで、直感的でスムーズなモデリングが可能です。

サブディビジョンサーフェス機能
VectorworksにはPixar社のオープンソースプロジェクト「OpenSubdiv」を利用した「サブディビジョンサーフェス」機能も搭載されています。プリミティブな形状から、あるいはソリッドオブジェクトから滑らかな曲面を持った3Dモデルを作成可能です。滑らかさも5段階で調整できます。

05レンダリング
レンダリング
3Dモデルのプレゼンテーションにはレンダリングが重要です。素材を表現する「テクスチャ」は色や反射、透明度や凹凸を設定できるほか、Cinema 4Dのテクスチャを取り込むことも可能です。

光源ツール
シーン内を明るくする「光源」はスポットライトや点光源に加え、市販の照明器具の配光データ(IES)を活用できるカスタム光源を利用できます。

シーンレンダリング
シーン全体の効果には「環境光」や「間接光」を活用し、影の表現には「ソフトシャドウ」や「アンビエントオクルージョン」を指定することで、奥行きをもたせたシーンレンダリングを実現します。
被写界深度などのカメラエフェクトをリアルタイム処理が可能なシェイドレンダリングや、静止画に適した高品質なRenderworksレンダリングなど、プランに合わせて選択できます。

幅広い表現と視点の設定
レンダリングエンジンは「Ci neware」と「Redshi ft」を搭載し、リアリスティックから手描き風まで幅広いレンダリングに対応します。特定のアングルには「レンダーカメラ」を配置することで、素早く視点移動ができ、カット割りの検討にも役立ちます。

06データベース
レポート作成
ワークシートの作成に便利な「レポート作成」機能を搭載しています。ダイアログボックスを通じて、対象とするオブジェクトを指定し、集計したい情報を選択することで、容易にワークシートを作成できます。

レコードフォーマット
Vectorworksのあらゆるオブジェクトには、設計者が「レコードフォーマット」を使って任意のデータを割り当てることができます。割り当てられたデータはオブジェクト情報パレットで適宜修正でき、「ワークシート」に集計可能です。またオブジェクトと双方向に連動するデータベースとしても活用でき、ワークフローのどこでも設計に関わる情報を可視化できます。

07プレゼンテーション
プレゼンテーションシート
デザインをまとめ上げる場所は「シートレイヤ」です。デザインレイヤ上のオブジェクトを「ビューポート」として配置し、注釈などを追加しながら設計図書を仕上げることができます。画像の配置も可能で、プレゼンテーションボードとして利用可能です。ビューポートはデザインレイヤと連動しているため、設計変更の場合は、ビューポートを更新するだけです。

デジタルプレゼンテーション
Vectorworksはデジタルプレゼンテーションにも長けています。「ウォークスルーアニメーション」はもちろん、没入感を体感できる「パノラマレンダリング」、敷地写真と3Dモデルを合成できる「Camera Match」を利用できます。

08データ互換
取り込み・取り出し
DXF、DWG、さらにDWFといった汎用CADデータの取り込み/取り出しができ、3DモデルとしてはOBJ、STEP、STLなどに対応しています。
バージョン2025では、シートレイヤでレイアウトした図面を線と文字のみに分解し、クリップされた簡易的なグラフィックとして取り出す機能を追加しました。またワークシートはExcel形式の取り込み/取り出しが可能で、Vectorworksで作成した一覧表を表計算アプリケーションに渡すことができます。

プレゼンテーションデータ互換
プレゼンテーションのデータ互換としては、Cinema 4D形式への取り出しのほか、リアルタイムレンダリングソフトウエアのTwinmotion、Lumion、Enscape、D5 Renderとのダイレクトリンクの活用が可能です。

Vectorworks 2025 評価版
Vectorworks製品の新規購入やバージョンアップをご検討のお客様は、無償の評価版をお試しください。評価版ではVectorworksの性能・機能をお試しいただけます。