2021年度
デザインスカラシップ 優秀作品建築部門
最優秀作品
FOREST REVOLUTION
多摩美術大学 王 家文
今回出した作品は「FOREST REVOLUTION」と言うリムーバブルな単体建物で構成されているオフィス群です。周りの自然環境の状態によって、自由に動かせて、建築を森と一緒に育てることが出来ます。 いつの間にか都市化が急速となって、人間の生活が豊かになっているが、他の生物に酷い生活環境をもたらしました。私たちが生きているこの大地に与えたモノを考えたら、ほとんど傷害だと思い、深い悲しみを覚えました。 コロナ禍で、人間活動の減少に従って、逆に自然生態が回復してきたと感じました。人間の支配を抑えたら、土地が受ける影響は少なくなるのではないでしょうか。 それで、今まで人間メインのデザインをしましたが、自然生態と建設が両立する為に、改めて自然の視点から 、植物達の情緒を大事にして、「自然を戻す建築形式」をテーマとしてチャレンジし、環境と一緒に成長できる建築を発想しました。 有機と無機が共存できるコトを目指して、オフィスデザインの実験で「成長系建築」を提案します。
審査員コメント
- プログラムが混在する都市の中に、小さな建築群と植物のランドスケープをつくる提案。四谷の地形が生む環境のグラデーションが、建築やその周りの出来ごとと関係を持っているような期待を持ちました。塀や階段など、地形との関係から生まれるものたちと、建築(構造や配置、規模など)、植物との時間軸がより有機的な提案となっていると、さらに良くなると思いました。プログラムについても、オフィスのみに現定せず、色々な場所の借り方、グルーピングが生まれるようになると、四谷のまちの多様性がいきる提案となると思います。
(冨永美保 様)
- 「FOREST REVOLUTION」 は、都市の暮らしのあり方に対しての投げかけである。都市の緑地にマイクロストラクチャーの村を挿入し、新たなコミュニティや自然との共生を示唆させる素晴らしい提案である。プレゼンテーションも詩的で美しいものであった。
(末光弘和 様)
優秀作品
アロマと本 ~限りなく正に近い7角形と7にまつわる話~
日本工学院専門学校 今泉 伎琳
「現代はテクノロジー技術が発展し、都市には多くの建物が立ち並び都市に暮らす現代人は息苦しさを感じるほどである。 そこでアロマと本という媒体を用いて、特定の宗教思想に頼らず誰でもが訪れられる、都市の日常から離れ神聖ともいえる心が浄化される空間、公共施設を造形していく。 この建物は現代にみられる多くの無機質な建物とは対照的に人々の心を落ち着かせる場の空間を持つ建物として存在するであろう。」 (以上、本作品の1ページの文章より抜粋) まず、なぜ「アロマ」と「本」の2つの異なる媒体を組み合わせる考えに至ったかを説明する。 それはアロマはリラックス効果が高く、また本を読むこともストレス解消効果が高いという論文を読んだからである。 そこで、ブックコーナーにアロマルームを併設した、人々がリラックスでき日頃のストレス解消の場となるような公共施設を作ることとした。 次にアロマと本を媒体にした空間を作るにあたって多くの文献を参考にした。 その中に私が気になったものとして以下の2点の情報を上げる。 ・アロマの香りは7種類に分類できる。 ・香りには塗香やチベット香など、古今東西身を清める心を浄化させるなどの使われ方がされてきた。 その時私はふと昔聞いたことのあるこんな話を思い出した。 「正3角形から正9角形のうち、唯一存在しない正多角形がある。それは正7角形。正7角形はコンパスと定規では容易に作図できない厳密には存在しないことから古代ギリシアでは神の領域のもの、つまり神聖なものとして考えられていた。」 では、古代ギリシアとは対照的に現代では正7角形はどのように存在するであろうか。 CADで正多角形ツールを用いて正7角形を書くとそこには確かに正7角形、いや、限り なく正に近い7角形が存在する。 神聖な形はパソコンの画面に容易に表示されるようになった。 色々と文献を調べていくにつれて私が感じたこと、それは現代のテクノロジー技術が進化した時代にしかできない表現は存在するのではないかということである。 だからそれを本作ではやってみようではないか。 本作では限りなく正に近い7角形の形を基調としたアロマと本を媒体とした、まるで教会のような神聖な空間を制作する。
審査員コメント
- 香りをアイデアの起点に公共施設を考える提案というのがおもしろいと思いました。香りの立ちのぼるかたちを帽子のように重ねて、居場所をつくっているところがユニークでした。香りには、オフラインでしか経験できない魅力があるので、これから建築を考える上で重要な鍵となるかもしれません。7角形の平面構成と、香りの帽子のアイデアが融合した建築となっていると、より良いと思いました。
(冨永美保 様)
- 「アロマと本」は、空気+香りの流れを視覚化し、透明感のあるデザインに昇華した秀作である。特にアロマという特徴的な視点が入ったことで、五感に訴えかける美しいイメージになっている点が評価できる。全体の建物のデザインとうまく調和できれば、より素晴らしい提案になっただろう。
(末光弘和 様)
インテリアデザイン部門
最優秀作品
該当作品なし
優秀作品
bakeryshop&cafe 「360°-JAPAN」
専門学校九州デザイナー学院 谷口 なつみ
私は学校の進級制作課題で「ベーカリーショップ&カフェ」をデザインしました。 店舗名は 360°-JAPAN- です。 コンセプトは “香る心地よさ、みる安らぎを360°感じられる空間” カフェに入った瞬間から店内に広がるパンやコーヒーの香りをイメージして、また香りだけでなく視覚でも空間を楽しんでもらいたい、そして少しでも安らぎを与えられる場所になればと思いこのコンセプトにしました。 店舗名もコンセプトから360°をそのまま店舗名にし、サブタイトルの -JAPAN- は360°のイメージイスタイルが“和モダン”なのでその意味を込めて 360°-JAPAN- にしています。 普段、仕事や子育てに追われ自分の時間をゆっくりと過ごすことのできない方々に、この場所が少しでも肩の力を抜いて安らぎを感じられる場所になれるよう、その方々の特別な場所になれるように思いを込めてデザインしました。 また小物や家具を1から作成し、よりリアルで自分の理想に近づくよう細部までこだわりを持って制作しました。パンやトレーを作るのは細かい作業で大変な部分もありましたが、その分やり甲斐もあり楽しく制作に取り組むことができました。
審査員コメント
- 和テイストの美しい鉄骨とガラスの心地よい空間を創出している。自然に溶け込んだインテリアはのびのびしている。デザインの独創性が感じられる部分も欲しい。パースは陰影や質感表現が優れていて評価できる。点景人物が入っていないため、スケール感を正確に伝えていない。サインが全くない。商業空間である以上最低限表現すべきである。コンセプト・計画のプロセス・動線 計画・敷地や環境への配慮・工夫したディテール・扱う商品 についての説明(図・イラスト・文章)がもっと欲しい。
(河村容治 様)
- タイトルにある360°感が分かりにくい。360°をどのように表現するかの工夫がほしかった。学生が新しい表現をするには、元気な作品が欲しかった。本作品では元気さがわかりにくい。コンセプトが明確に伝わってこないのが残念であった。
(平綿久晃 様・渡部智宏 様)