2013年度
OASIS加盟校を対象とした研究・調査支援奨学金制度について2013年度は、「3・11以降を見据える『ゆとりの目』」を表題に、OASIS(オアシス)加盟校の学生・教員の皆様の研究・調査活動をバックアップいたします。なお、2014年8月22日に開催したVectorworks教育シンポジウム2014において、授与者による研究成果発表がおこなわれました。
2012年度 OASIS加盟校「研究・調査支援奨学金」授与者
厳正なる審査の結果、2013年度OASIS加盟校「研究・調査支援奨学金」授与者は、下記3つのテーマに決定いたしました。
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代表 土嶋 雄介 さん 他 全5名
- 豊橋技術科学大学大学院 建築・都市システム学専攻 建築計画研究室 修士2年
- テーマ:「来館者のゆとりある生活の質向上にむけた未来の公共図書館のありかた~館内のくつろぎ行為からみた新たなゾーニング方法に関する研究~」
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天坂 幸紀 さん
- 八戸工業大学 感性デザイン学部 感性デザイン学科 宮腰研究室 4年
- テーマ:「旅行のきっかけをつくる鞄の研究・作製」
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遠藤 貴子 さん
- 米子工業高等専門学校 建築学専攻 高増研究室 1年
- テーマ:「学生を中心に住民や専門家をまじえた集団による空き家改修とその活用の可能性」
2013年度 OASIS加盟校「研究・調査支援奨学金」概要
目的
OASIS加盟校に在学する学生(グループを含む)の学術研究・調査を支援するものです。
対象となる研究・調査
2013年度の支援対象となる研究・調査は、「3・11以降を見据える『ゆとりの目』」をテーマとして、東日本大震災を経験した私たちが描くべき未来の姿を考えるための研究・調査にかかわるものとします。
おそらく、現在大学・高専等に在学している皆さんは、いわゆる「ゆとり世代」とひとくくりにされてしまっている世代でしょう。
最近では、この「ゆとり世代」という言葉はあまり良い文脈では使われていません。この言葉のもとになった「ゆとり教育」は、それ以前の知識偏重・詰め込み型教育の反省から生まれたものです。試験の点は取れるが、創造力や個性に欠ける。そんな人を作り出す教育は止めて、よりゆとりのあるカリキュラムで、経験重視の教育をしよう。そんな教育理念から、皆さんが就学年齢に達した頃、ゆとり教育は始まりました。
さて、その教育理念はどこにいってしまったのでしょうか。国際的な点取り競争で順位を下げ、台湾・韓国に遅れをとると、20年ほどつづいた教育理念をあっさり捨てて、「脱ゆとり」という言葉で旧来の教育方針にもどしてしまいました。それ以降「ゆとり教育」がいかにも失敗だったようなものいいが続いています。
「私たちは、自ら望んでこの教育を受けた訳ではないぞ」「私たちはモルモットだったのか」
皆さんからは、そんな怒りの声が聞こえてきそうです。
ゆとり教育は失敗だったのでしょうか?
おそらく、ゆとり教育の影響(効果)は公式には調査されていないのではないでしょうか。もともと知識偏重の詰め込み教育の反省ですから、試験の点数の少々の落ち込みは、当初から織り込み済みのはずであったと想像するのですが、どうでしょう。皆さんは、もう気付いていると思います。比較的、若い年齢で活躍することができるスポーツの世界では、ゆとり世代の活躍が目立っています。それ以前の世代で国際的な活躍をする人たちには、ある種の「悲壮さ」がつきまとっていました。それに比べると、ゆとり世代の選手たちは軽々とハードルを越えているように見えます。実際には、大変な努力をされているのでしょうが、ことさらそれを見せない、なにか余裕すら感じるのです。このユトリスト達が、今後つぎつぎと社会に出て、各方面で実力の発揮できる場所を与えられた時、何か予想を超える素晴らしいことをやってのけるのではないか…私はある種の確信をもって期待しています。
さて、3・11大震災を契機に始まった、「OASIS加盟校を対象とした研究・調査支援奨学金制度」も3回目を迎えました。石の上にも三年という言葉がありますが、この大震災はこれをゆうに超える規模の災害であったと感じます。
「事故は未だに収束していないのではないか」と一部に云われている原発事故は別格としても、この大震災の先に見えるもの、これを私たちはいまだに掴みきれていないのでは無いかと感じます。それほど、大きな災害だったのかもしれません。あるいは、知識偏重教育を受けてしまった、創造力に欠ける大人達の能力不足のせいかもしれません。
長い前置きになってしまいましたが、そんな考えから、今年度のテーマは以下のようにしました。
- 3・11 以降を見据える「ゆとりの目」
どうぞ、あなた方が受けた「ゆとり教育」を信じて、「3・11の大災害を経験した私たちが描くべき未来の姿」を考えてください。もちろん、「未来の姿」を考えるための「現況調査」「過去の調査」も歓迎します。最後に、私からゆとり世代の皆さんに、次の言葉を贈ります。
- 「知る」ということは、「感じる」ことの半分も重要ではない。
これは、「沈黙の春」を出版し、農薬の無秩序な使用の恐ろしさを警告したレイチェル・カーソンさんの遺言とも言われる「ザ・センス・オブ・ワンダー」の中の一節です。
これまで奨学金を受けていただいた方々からは、グループによる活動が大変貴重で楽しい経験だったとのご意見・ご感想をいただいています。私も強くそう思います。身近に同じようなテーマを持っている仲間がいたら、ぜひグループとして、ご応募ください。もちろん、おひとりでのチャレンジも従来通り応援しますからご遠慮なく。
ゆとり世代からの創造力に満ちあふれた研究・調査の提案を期待しています。
選考委員長 大河内勝司
【OASIS加盟校を対象とした研究・調査支援奨学金制度】2013年度募集要項
テーマ
「3・11以降を見据える『ゆとりの目』」をテーマとして、東日本大震災を経験した私たちが描くべき未来の姿を考えるための研究・調査にかかわるもの。
応募方法
本年度の募集は終了いたしました。沢山のご応募ありがとうございました。
スケジュール
2013年6月3日 | 応募用紙ダウンロード開始 |
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7月20日 | 応募締め切り(当日消印有効) |
8月5日 | 選考結果個別通知 |
8月23日 | 選考結果発表・支援開始(教育シンポジウム会場) |
2014年6月末日 | 研究成果提出 |
2014年夏 | 成果発表会 於 教育シンポジウム会場 |
選定方法
弊社内に設置する選定委員会にて選定します。
選定された方々のお名前と提案内容は、弊社ホームページにて発表いたします。
奨学金と研究成果
総額100万円。OASIS加盟校の学生(グループを含む)を対象とし、最大5個人、または5グループとします。使途に制約はありません。
研究成果は2014年6月末日までに弊社宛ご提出ください。
研究成果発表
2014年夏、Vectorworks教育シンポジウムにて成果を発表していただきます。