株式会社バウハウス丸栄
動的になる 3Dプレゼンテーション
バウハウス丸栄様は、商業施設や専門店の設計施工を行なっており、長年にわたってVectorworksを業務に使用いただいています。Vectorworksユーザ事例も2011年に続いて2回目となります。
今回は、専門店の設計を中心に行なっている三浦さんと、商業施設のデザインを中心に行なっている馬淵さんの最前線で活躍されるデザイナーお二人に、働き方や業務内容を切り口にVectorworksの使い方などをお聞きしました。お二人はクライアントに寄り添い、より相手が空間イメージを把握できるようにVectorworksの3Dを駆使されていました。
インテリアの世界に足を踏み入れたきっかけ
バウハウス丸栄さんに入社される学生は、理系・美術系・文系と多種に渡るとのことですが、お二人とも建築学科出身と聞きました。
三浦:私の場合はわりと美術よりの建築学科でしたので、周りにプロダクトの学生がいたりと自由な雰囲気でした。そんな中、唯一のインテリア設計の授業でインテリアの面白さを知りました。
学生の目からすると、建築よりもインテリアの方が制約なく見えて、自由な発想が展開できるような感じがしたんですね。もちろん、建築には建築の、インテリアにはインテリアのルールがあり、実務を経験すると一層それを実感します。でも、ディティールを深く作り込んでいくインテリアの世界は、本当に楽しく、情熱が薄まることはないですね。
馬淵:私はかっちりした建築学科出身です。建築ではなく、インテリア・内装設計の仕事に魅力を感じたきっかけは、「インテリアはより人に近い」と気がついたことです。「内装の仕上げを人はどのように感じるのか」という近さ、「日々の買い物」など生活に根ざす近さ、ですかね。
バウハウス丸栄に入社して最初のプロジェクトは大型のショッピングセンターでしたが、今でもそのプロジェクトは心に残ってますし、自身のベンチマークです。「誰のための、何であるか」をいつも心の中で思い、設計を進めています。
前回の取材(2011年)から変わったこと / 現在の業務
2011年から変わったことを教えてください。
三浦: 以前よりも3Dの活用機会が確実に増えてきたと実感します。弊社では社内で3Dを制作する場合と、協力会社と協業して制作する場合の2つのフローがありますが、協力会社ではVRを活用した提案など先進的な取り組みを進めています。このデータを見たクライアントからは、驚きと共に、新しい提案や意見を得ることができます。
弊社でも、既にVRに耐えることのできる3Dモデルの作成はできていますので、ハードウエアの環境が整えばすぐにでも活用できると考えています。

馬淵:3Dデータを活用した「データ打ち合わせ」も既に可能な状況になっています。その為、弊社のシステム担当と協力し、「働き方改革」を含めデザイナーの IT 環境を考えています。
提案時のお客様からの要求は以前より厳しくなってきており、3Dやパースのでき栄えには気を使います。とは言え、ガチガチのレンダリングを提案すると、お客様の考える余地を奪うこともあるため、スケッチや手で着色した柔らかい印象でお伝えすることもあります。

新規導入する「脱着式ハイスペックモバイルコンピューター」を確認する両氏
三浦:すごい。打ち合わせ先や外出先でもデータを扱うことができるので、Vectorworksの使い方も広がりますね。
Vectorworks2018から搭載された「マルチビューウィンドウ」を使って、外部モニターをクライアントに見せたい視点で固定し、自分は平面プランを検討・打ち合わせを行いながら設計変更できますね。打ち合わせの幅が広がります。

新しいVectorworksを触ってみて
マルチビューウィンドウの話題が出ましたが、新しいVectorworksをお使いいただき、どのような感想をお持ちでしょうか。
三浦:アニメーション取り出し時に、解像度を選択できるようになりました。大きなモニターでプレゼンテーションする際も、クオリティを保った「ウォークスルー」を用いることができます。
また、Vectorworksから出力される「パノラマレンダリング」は本当にわかりやすいですね。現実にでき上がるインテリアとの見え方の差は考慮する必要がありますが、レンダリングの質を保ちつつ、空間を見渡せることは提案時にとても有効な機能だと思います。ウォークスルーやVR、打ち合わせでの使用など、静止的な3Dの使い方が、現在ではより動的な使い方に変化していってます。
馬淵:以前から搭載されていましたが、「アンビエントオクルージョン」の機能は便利です。OpenGLでも3Dパースに陰影が付きますので、奥行き感を確認しやすくなりました。
「シートレイヤ」も資料作成には欠かせない機能ですが、何と言っても取り込んだ画像の解像度を、取り込んだ後に変更できたり、クロップした不要な情報を削除できるようになったことは地味ですが、大変助かっています。以前は、提案書作成時にドローイング系ソフトを併用していた頃もありますが、今はほとんど使わなくなりました。

Vectorworksのこんな使い方
お二人のこだわり、もしくは変わったVectorworksの使い方はありますか。
三浦:アニメーション取り出しで「回転して撮る」という機能があります。この動画をスマートフォンやタブレットでクライアントに見せています。クライアントは動画の時間スライダーを動かすことで、建物のファサードを左右に動かすことができるため、動画の色々な方向から自分のペースで確認することができ、とてもスムーズに打ち合わせを進めることができました。

馬淵:私の場合は、急ぎで概算が必要な場合、3Dモデルを展開して、壁面積や仕上げの面積をざっくり算出します。3Dあってこその使い方と思いますね。
三浦・馬淵:家具図など、施工へ渡す図面であっても、3Dのパースを付けるようにしています。納まりなども直感的にわかりますし、現場では好評です。

新入社員教育について
バウハウス丸栄様は、毎年の新入社員研修において、Vectorworks カスタマイズセミナーを採用いただいております。採用ご担当者にセミナー概要や意図をお聞きしました。
採用ご担当者:私たちは例年新入社員研修を2週間ほど設けています。その新入社員研修の一環として、Vectorworks のカスタマイズセミナーを採用しています。新入社員が2名1組となり、Vectorworks の2D作図の基本から3Dモデリングまで、ハンズオンで操作します。
学生時代にVectorworksの操作経験が有る社員、無い社員などCAD経験はさまざまですが、1日のハンズオンを通して基本の習得を実施しています。
私たちの業務の特徴として、一貫型の業務推進が挙げられます。クライアントの窓口から設計・現場管理まで担当する一貫型業務の場合、社内外のコミュニケーションツールとしてVectorworksが必要です。
Vectorworksの新入社員研修を実施してから、参加者のスキルアップは勿論のこと、早期に現場で使用するツールに触れることで、新入社員が現場に溶け込み易くなっていると感じています。
私たちの仕事は創造性を大切にしますが、その創造性を人に伝えるためにも、ツールの基本操作習得は重要となります。新入社員研修は、当社のスローガンである、「Global Design & Good People Company」を実現するための始まりの一つだと考えます。


三浦 広基
開発本部 バムプランニングオフィス
デザイナー
大手チェーンストアの設計・施工に携わり、現在は主に店舗・飲食店を手がける。音楽が趣味で、最近はキャンプなどアウトドア系がマイブーム。「3Dは好きです。作っていくのが面白い。」とのこと。

馬淵 絋一
開発本部 バムプランニングオフィス
プランナー
設計施工会社を経て、バウハウス丸栄へ入社。初めて手がけた仕事が大手SCで、以降主に大型店舗を手がける。建築や現代アートを見ることが好き。「3Dは好き嫌いというよりも、クライアントによりイメージを伝える為に使用している。」とのこと。
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