株式会社ナイキ 東京支社
人を想って、人を見つめて
感性と想像力を誘発するオフィス空間を提案
株式会社ナイキは、「ぴったり、やさしい、いきいき空間。」をキーワードに、組織・個人の感性と想像力を誘発する「クリエイティブ100人オフィス」を提案しています。社員の方々のパワーを引き出し、新しい時代に適したオフィス環境の提供を目指し、オフィス家具メーカーとしての強みも最大限に生かしながら、内装を含めた総合的な空間づくりに取り組んでいます。スピードと提案力が求められるオフィス空間のプランニングで、Vectorworksがどのように活用されているのかをご紹介します。
今回、東京オフィスデザインセンター(ODC) オフィスコーディネーターの廣田 渉(ひろた わたる)さんと東 茜(あずま あかね)さんにお話をうかがいました。
家具のレイアウトから内装一式までさまざまな要望に対応
具体的な仕事内容を教えてください。
廣田:東京オフィスデザインセンターでは、オフィス空間のコーディネートやデザインなど設計業務を担当しています。主にオフィスの新設、リニューアルや移転で、家具のレイアウトだけでなく内装一式まで提案するものもあります。オフィス以外ですと特別養護老人施設などの提案もあります。
東:エントランス空間などは一から提案することもあります。いろいろな案件がありますので、期間も短いものから長いものまでさまざまですが、基本的にはスピードが求められます。打ち合わせの回数や、必要な図面も案件ごとに変わります。新たに家具や什器を追加するようなリニューアルが多く、移転検討の途中でリニューアルに変更となるケースもあります。

平面図や展開図も着色してわかりやすく
Vectorworksでどのような図面を作成するのですか?
廣田:案件によって違いはありますが、内装一式の場合は、平面図、展開図、エントランスの詳細や内観パース、家具のレイアウト図、造作家具の詳細図、床伏図などを作成します。引っ越しの場合は、新しく入れる什器と移動する什器の色分けの他、椅子やデスクなど家具すべてに番号をつけて移動の際、設置場所がわかりやすいようにした平面図を作成します。
東:基本的には平面図、展開図共に施工業者に提出する指示書もVectorworksで作成しています。お客様に説明する図面は着色をしてイメージが伝わりやすいようにしています。

パースや内装材のサンプル提示でイメージを共有
完成プランをどのようにイメージしてもらうのですか?
廣田:お客様からは平面図だけではわかりにくいのでパースや3Dで確認したいという要望を一番多く受けます。パースや3Dで空間がイメージしやすくなりますが、モニタの画面上で見た場合と、印刷した状態では色味などに違いもでます。ですから、完成後の印象に違いがでないようにするために、基本的には提案した内装のサンプルもお見せしてプレゼンテーションをするようにしています。
東:特にラメが入っているような素材は、パースなどで質感を再現するのが非常に難しいので、そういったことも踏まえて実物のサンプルをお見せしながら丁寧に説明することが大切です。

Vectorworksの3Dシンボルを活用し効率的に図面を作成
Vectorworks以外のソフトウエアも使用していますか?
廣田:設計ではVectorworksの他、STRATA DESIGN 3Dを使っています。営業部門は3DオフィスデザイナーPROを使っています。案件によってソフトウエアは使いわけていますが、基本的にはVectorworksです。家具はVectorworksで3Dシンボル登録をしていますので、STRATA DESIGN 3Dや3DオフィスデザイナーPROを使用する場合もVectorworksの3Dシンボルを活用することで効率的に図面が作成できます。現状は3Dの鳥瞰パースやレンダリングなど一部でSTRATA DESIGN 3Dを使っていますが、VectorworksのバージョンアップによりRenderworksが使えるようになったため、今後はVectorworksですべて作成したいと考えています。
東:私もVectorworksを優先的に使います。今はRenderworksの機能もついてテクスチャの割り当てや登録、編集もできるようになったので、とても便利です。

カタログ掲載のおよそ8000点の家具を3Dシンボルとして準備
家具はすべて3Dシンボルにしているのですか?
廣田:3Dシンボルはオフィスデザインセンターで作成していますが、カタログ掲載商品約1万品番のうち8000点ほどは作成しています。Vectorworksでのモデリングの勉強も兼ねて新入社員も交えて全員で協力して作成しています。
東:データが重くならないようにモデリングは基本的に多角形で作成をしています。家具を3Dシンボルにすることで効率的にプレゼンテーションの資料が作成できますし、変更への対応も容易になります。

変更が多く日程もタイトなため効率化は必須
計画の変更などは多いのですか?
廣田:変更はとても多いです。予算が決められているので、椅子のグレードを下げてデスクにオプションを付けたり、収納庫を増やすというようなことはよくあります。他には、肘つきだった椅子を肘なしにするといった変更もあります。数が多いので一脚ずつ直すと作業量は膨大になりますが、3Dシンボルの編集で一括変更が可能なので即座に対応できます。
東:規模によって違いはありますが、日程に余裕はありません。提案図面はなるべく時間をかけずに、きれいでわかりやすいことが要求されますし、そこが課題でもあります。3Dシンボルの活用に加えてVectorworksのさまざまな機能を使って効率化を図っていきたいです。
Vectorworksは表現の幅が広くイメージを伝えやすい
Vectorworksで使いやすい機能は?
廣田:Vectorworksにはいろいろな機能があるので、お客様への提案図面や資料作成で困ることはほとんどありません。床も実際に貼る500角のタイルカーペットをテクスチャとして割り当てられるので、細かい寸法がなくてもタイルカーペットの枚数で説明できます。また、車や人、植栽などリソースのライブラリが充実しているのですごく便利です。
東:色をつけられる点です。図面に着色することで、お客様もイメージしやすくなるようです。透明度なども細かく設定できるので、とても使いやすいです。2Dの平面図も床にテクスチャを割り当てられますし、家具はドロップシャドウで影を表現できるので、パースにしなくても立体感が出せる点は気に入っています。また、ビューポートごとに、縮尺や表示の設定をしてシートレイヤにレイアウトできるので、プレゼンテーションの際とても使いやすいです。

Vectorworksの表現力を生かしてよりよいオフィス空間の提案につなげる
Vectorworksを使って今後取り組みたいことは?
廣田:一番やりたいことはVectorworksの3Dで、Renderworksの機能もさらに活用して空間を表現していきたいです。ひとつのソフトウエアで空間を確認しながらプレゼンテーションできることが理想ですので、今後取り組んでいきたいです。そして、オフィスのデスクも上下昇降ができるものや120度の形状で半円形に並べられるものなど、さまざまなものがあります。レイアウトもさまざまな手法がありますので、エントランスや応接室だけでなく執務空間も、働き方やデザイン性などそれぞれの企業にあわせてトータルで提案をしていきたいです。
東:レンダリングもそうですが、リソースやシンボル、ワークシートなども今以上に活用して効率よく図面が描けるようになりたいと思います。そして、提案という面では、現状は更衣室やリフレッシュ空間など十分なスペースがとれないことも多いのですが、女性ならではという悩みや要望にも目を向けてより快適なオフィス空間の提案をしていきたいと思います。


オフィスデザイン部 部長 木村 稔氏 よりひとこと
日本のオフィス規模は100人未満が約9割という調査結果もあることから、「100人オフィス」をキーワードに中小規模の事業所をターゲットとして事業を展開しています。オフィス空間の設計では短時間でクオリティの高い提案が求められます。図面作成の効率化を図るとともに、オフィス家具の提供だけでなく、内装デザインも含めて多様化する要望に対応できる空間を提案したいと考えています。働き方改革が叫ばれる中で、上下昇降デスクやフリーアドレス対応家具など、より空間の自由度が高まる商品の導入も増えています。メーカーの強みを生かし、そういった家具で私たちも実際に仕事をすることで、よりよいオフィス空間の提案につなげていきたいと考えています。
取材協力
- 株式会社ナイキ 東京支社
- オフィスデザイン部 部長 兼)ODL 課長 木村 稔 氏
- 東京ODC(オフィスデザインセンター) オフィスコーディネーター 廣田 渉 氏
- 東京ODC(オフィスデザインセンター) オフィスコーディネーター 東 茜 氏
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