ライティングプログラマー:スコット・バーンズ
マーベル映画や多くの映画を手掛けたライティングプログラマー
マーベル映画や多くの映画を手掛けたライティングプログラマー
ライティングプログラマーのスコット・バーンズ氏にとって、80年代の名作映画 ”E.T.” は特別なものでした。現在「i-light design」のオーナーでもあるバーンズ氏はこの映画がきっかけとなり、映画セットの2D/3Dデザインを手掛けるキャリアに進みました。「10歳の時にE.T.を観てから、私はすっかりモーションピクチャーに魅了されてしまいました。映画製作者を真似て、8ミリビデオカメラで試験的に映画を作り始めました。必然的にライティングの技術もついてきて、ハイスクールの卒業前に初めて仕事のオファーをもらうことができました。それはジョージ・C・スコット主演映画の技術スタッフでした。」

キャリアの初期の頃は、バーンズ氏はほとんどの図面やイラストを手描きしていました。業界内に新しいデザインテクノロジーが浸透し始めた頃、彼はいち早くそれを仕事に取り入れました。
「プレビズ※について勉強し始めた頃、最初にHogコンソールを使いました。HogコンソールはWYSIWYG(画面上の入力内容と出力結果が一致するインターフェイス)なのですが、私はこのWYSIWYGが苦手でした。他に選択肢はないかと調べたところ、Vision(Vectorworks社のライティングシミュレーションソフトウエア)を見つけました。Visionは本当に私にぴったりでした。」
バーンズ氏は映画 ”ドリームガールズ(Dreamgirls)” のカメラワークのプレビズで初めてVisionを使用しました。しかし2Dの作図や3Dのモデリングとなると、未だに解決策を模索している状況でした。「3Dモデリングに関しては以前にMayaに手を出したのですが、参ってしまいました。ツールの幅が広すぎて私には合わなかったのです。その後、Visionと密接な統合機能のあるVectorworks Spotlightを見つけ、試しに使ってみたところ、これは業界に特化したパーフェクトな2D/3Dツールだと確信しました。」

バーンズ氏は、主力ツールとなったVectorworks Spotlightを使って、初めに取り組んだのは2008年公開の "アイアンマン(Iron Man)" でした。それから今日まで、”ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス(Guardians of the Galaxy Vol. 2)”、”シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(Captain America: Civil War)”、”アントマン(Ant-Man)” を含む全てのマーベル映画や ”ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション(The Hunger Games: Mockingjay – Part 2)”、”スター・トレック イントゥ・ダークネス(Star Trek Into Darkness)”、”インセプション(Inception)” などの話題作に携わりました。
バーンズ氏はスキルをブラッシュアップし続け、自信を持って大きな映画に携わっています。映画を作るために、各工程でセットデザイナー、建設作業スタッフ、照明スタッフ、カメラマンなどあらゆる立場の人と協業しています。各チームは工程全体の一部分のみを担当しますが、バーンズ氏の仕事は照明器具の図面を描くだけではなく、さまざまな要素を一つにまとめることでもあります。

「私は各チームからDWGやPDFの図面を集め、詳細図を描き込むスペースを探し、図面から実際の動きをイメージします。ただ図面を描いて次に渡すのではなく、工程の一部として私なりのインプットを描き加えます。Vectorworksを活用することで、集めたファイルから3Dモデルを作成することができ、さらにそのモデルから正確な展開図を作成し、照明スタッフやカメラマンに提供します。」また「照明器具やトラスに持たせる役割を厳密に図面に表現できることが便利である」と彼は話しています。
自身の仕事について最も良い点は何かという質問には、「型にハマった9時から5時の仕事とはまるで異なり、映画の仕事は『なんでもあり』なところが面白いです。常に何か新しいことが間近にあり、目が離せないのです。」と答えました。

今では、Vectorworks Designerを使ってその幅を広げています。Vectorworks Designerにはエンタテインメント業界向けのものだけでなく、建築やランドスケープ設計のためのツールも含まれているため、バーンズ氏はこの「なんでもあり」の精神でもってVectorworksの自由度を楽しんでいます。彼はすでに作品の中で違う分野の設計も試しており、「城やボート、車、並木畑、なんでも描けるVectorworks」に惚れ込んでいます。
バーンズ氏はVectorworksの熱烈なファンであり、バージョン2017では特にたくさんの点を気に入っています。「ビューポートのデータ可視化機能はすばらしいです。ビューポート機能はすでに完成されているものと思っていましたが、さらに進化していました。この機能により照明器具をユニバースやタイプごとに簡単に色設定できるので、時間短縮にとても役立っています。」

Vectorworksへの強い情熱から、バーンズ氏はこのソフトウエアのエキスパートとして広く知られるようになりました。彼はたびたびデザイナーからのトレーニングのリクエストを引き受け、また現在はVectorworksのベータテスターも担当し、製品開発のためにフィードバックをしています。
「テスターとして素晴らしいと感じたことは、フィードバックが聞き入れられるだけでなく、実際に実行されていることです。その特徴的な例の一つがサブディビジョンサーフェスで、最新版での機能強化は私の要望のひとつから始まりました。しかし私がずっとVectorworksを好んできた一番の理由は、創造意欲を満たしてくれることです。Vectorworksには目的にたどり着くまでの手段が常にいくつも用意されていて、どの手段を選択するかは私たちに委ねられているのです。」
- プレビスとは:プレビジュアリゼーションの略。実際の撮影前に、最終イメージを想定して、絵コンテなどよりさらに具体的なイメージによる設計シミュレーション作業を行うこと。近年では、CGを用いて照明やカメラワークなどをシミュレーションすることが多い。
- これまでのバーンズ氏の仕事や最新の情報は Instagram からご覧いただけます。
- この事例は「PLANET VECTORWORKS」2017/05/23配信内容の翻訳です。
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