ユーザ事例 & スペシャルレポート

建築・インテリア設計で高いシェアを持つ2D/3D CADソフト「Vectorworks(ベクターワークス)」。優れた拡張性を備え、多彩な機能を持つ同ソフトは、店鋪・インテリア設計の現場ではどのように生かされているのだろうか。

ここでは、実際に設計にあたるデザイナーの生の声をもとに、その使い勝手や活用方法を聞いていく。


インテリアデザイナーに聞くVectorworks活用レポート

今回話を伺うのは、「Tokyo Food Bar」(商店建築 2012年4月号 P.76)のデザインを担当した株式会社船場の設計エンジニアリングディビジョン・部長の馬場井康之さんと同デザイナー・顧知香さんの2人。同社は国内外で商業施設、店鋪の設計・施工を幅広く手掛けており、アジアをはじめ海外の大型商業施設など、実績も多岐にわたる。

馬場井さんと顧さんは、飲食店を担当することが多く、「デザインはブレストを繰り返しながら、案を仕上げていく」(馬場井さん)という。
「店鋪の内装の場合、まず区画が提示されるわけですが、その落とし込みの段階からVectorworksを使います。与えられた面積や寸法などをできるだけ正確に把握しておくためです」と馬場井さんは話す。
「飲食店の場合、厨房とホールのレイアウトというのがプランのなかでも大きな要素となってきます。同時にクライアントが最も重要視するところもこの部分ですので、打ち合わせた内容をもとに手描きでラフをつくり、コンセンサスを得てから図面化へと進めます」

そうした上で、より細かい書き込み、デザインの掘り下げをしていく。そこでVectorworksによる製図に入るわけだ。「3Dを起こしやすいようにフレーミングから始めるのですが、Vectorworksは2次元の図面から3Dへ起こす工程がスムースなので、とても便利です」と実務にあたる顧さんは言う。

「まずはおおまかなボリュームをつかむことが大事で、店鋪の場合、サインやファサード、メニューボードなどがどういうサイズ感で見えるのか、視認性や位置のチェックが欠かせません」(顧さん)。打ち合わせ用の資料にも簡単に3D図面を用意できるのは強みだ。クライアントに対しても、図面では読み取れない情報を3Dで見せてあげることで、より相互理解が深まる。

各種関連会社とのデーマの共有も、互換性を高めた多様なフォーマットへの変換でこなせる。「プレゼン用のパースは外注していますが、その際もVectorworksのデータをそのまま渡すことが多いです」と顧さん。

「最終的に意匠図の承認を得るのは、Vectorworksを使った図面です。色や色彩のイメージなども把握してもらいやすいですし、図面をベースにプレゼン用の資料をつくり込むこともできるので、他のソフトに移らずにVectorworksで完結できるのもいいですね」とCADとしての精度を保ちながらの、高いビジュアライズ性能を評価しているようだ。

 

商店建築 2012年4月号掲載)

この事例のPDFファイルをダウンロードする

 

記載されている会社名及び商品名などは該当する各社の商標または登録商標です。 製品の仕様は予告なく変更することがあります。