ユーザ事例 & スペシャルレポート

株式会社宮崎舞研は、鹿児島に本社を構える株式会社舞研の関連会社として、宮崎県を拠点にミュージカル、コンサート、日本舞踊、学園祭など、ステージに関わる管理・運営業務を幅広く行っています。今回お話しを伺った木村氏は、その業務においてVectorworksを余すところなく使用されています。


「想いを伝えるための道具」Vectorworks 活用術

Vectorworks の使い方は工夫次第で万能に

その書類が綿密、且つ、できるだけわかりやすいものであることがポイントであると考えます。その作成する手段としてVectorworksをおもいっきり活用しています。昔は表計算ソフトを使い文字だけの進行表でしたが、刻々と移り変わるステージのタイムラインに加え、図面やパースを貼り込み視れるものを作成するようになりました。

主催者やエンジニア、施工者、現場スタッフ、出演者に至るまで、共通した意思伝達することができるため、「こんなはずではなかった」ではなく『次もお願いしよう!』『任せていて安心だ!』となっていることがありがたいです。

Vectorworks (MiniCAD)との出会い

私は、この仕事に携わり20数年経ちますが、入社当時は、照明の仕込み図作成で、JW_CADを使っていました。線で描いていくので、ハッチングパターンを割り当てる際も、実際に線で模様を描いていくわけですから長時間作業しなければなりませんでした。変更があった場合も、今考えると大変な労力をかけていた訳です。入社から5年程経って、Vectorworks(当時MiniCAD)に出会い、面で描いていく感動を今でも鮮明に記憶しています。当時、JW_CADを触り苦労をしていたからこそ、その感動が忘れられないのかも知れません。

トライ&エラーに応えてくれる柔軟な操作性

ステージの企画から開催までの期間は限られています。その限られた時間で、全体のスケジュール、照明の仕込み図、大道具の配置図、導線図、マイク、スピーカーの音響の仕様決め、舞台美術の調整などを、先に延べた進行表を元に確認していきます。打合せの際、決まって仕様変更がある訳ですが、その変更だけに時間を割くことはできません。その点、Vectorworksは大いに役立っています。

Vectorworksは、図面を描くためのデザインレイヤと、そのデザインレイヤの情報をビューポート機能で抽出し、魅せるため・印刷するためのシートレイヤがあります。デザインレイヤに変更を加えると、ビューポートで映し出したシートレイヤの表示内容も連動して変更させることができるため、図面の描き直しというよりも「表示内容を更新させる」というイメージが強いです。私が考える案のトライ&エラーにも十分応えてくれています。

デザインレイヤにモデリングされたステージの3Dをビューポートを使いシートレイヤに配置。
それぞれの進行で使用する図面に反映している。

3Dモデルと2Dドローの融合ができるCAD Vectorworks

私の仕事の場合、必ずしも3Dが必要ということではありません。照明のエンジニアに指示を出す場合には、2Dの仕込み図があれば十分に伝えられます。しかし、2Dだけでは伝えることに限界があるとも考えています。例えば、主催者(依頼者)への見せ方です。2Dの図面を元に話を進めていった場合、ステージ終了後に「あそこはこうすれば良かった」「こんなはずではなかった」と思われる場合もあります。これは、初期の打合せから十分に意思疎通が取れなかった結果だと思いますし、次回の仕事への影響も考えられます。そこで、3Dで魅せる必要がある訳ですが、”3Dを作る”だけに時間を割くことも出来ません。

その点、Vectorworksは融通が利くのです。全て3Dで作る必要がなく、3Dと2Dを融合させることができるのです。例えば、照明の仕込み図(2D)から、ステージと雛壇、サイド幕、袖幕だけを3D化し、バック幕の絵を2Dで差し替える手法です。これでも十分に必要なことは伝えられますし、時間の短縮にもつながります。

欲しい機能やツールは自作ができる!

Vectorworksでは、「こんな機能やツールが欲しい」と思ったときに、実装されている開発言語”VectorScript”で自作のカスタマイズツールが出来てしまうのも魅力の一つです。私は、C言語やその他の開発言語を学んできていません。もちろん、思い通りのスクリプトに組み上げるためには大変な思いもしましたが、その反面、Vectorworksの奥深さを知りましたし、楽しさも覚えました。もちろん、自作したスクリプトに愛着も持っています。

VectorScriptは、リソースブラウザから新規リソースで、VectorScriptを選択し実行すると、エディタが立ち上がります。ここに、スクリプトを入力することで、図面と連動した操作をカスタマイズするツールを作っていくことが出来ます。私が今でも実務で使用している「舞台照明仕込用プラグイン」はこのスクリプトを使って組み上げたものです。照明器具を指定するだけでコンモ線を描画することができ、また、フェーダー表にパッチ(割付)することにより情報がリンクしますので、矛盾のない書類を容易に作成・編集することができます。今のところ、ライセンスフリーで提供していますので、興味のある方はぜひ使ってみてください。(APA:作品データダウンロード)

私にとってのVectorworks

私は、Vectorworksを使うようになってから15年以上経ちます。Vectorworksを使えば使う程思うことがあります。「自分の想いを最大限伝えるための書類(図面)」を作ることで、関係者との意思疎通が活発になり、主催者から率先的に意見を引き出すことができていると考えています。

この『率先的に意見が出る』ことが重要で、ステージの企画に深く関わってもらっていることにもなります。3Dやスクリプトは、その手段の一つでしかありませんが、それを実現できるVectorworksは、私の最高の道具です。「想いを最大限伝えるための書類(図面)」を作成できるVectorworksに感謝しています。

想いをかたちに「Vectorworks」

【取材協力】

株式会社宮崎舞研

木村 喜見 氏

 

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