ユーザ事例 & スペシャルレポート

「Vectorworks2012 全国縦断 新製品発表キャラバン」にて講演していただいた内容をご紹介します。


3Dで設計する

2011年「商店建築」という雑誌で「インテリアデザイナーのためのCAD講座」を1年間連載しました。図面は図面、プレゼンテーションはプレゼンテーションとそれぞれ別物と割り切って作られる方が多い中、頭の中にあるイメージをそのまま3Dでアウトプットして設計に活用していくことを提案し、1つのソフトでプランニングからプレゼンテーションまで実行するデータの活用方法やそれらの業務に対応可能なVectorworksの魅力を伝えています。

3Dの作成は「難しい」「習得する時間がない」といった理由から、3Dへの取組みを諦めてしまったという声をよく聞きますが、壁ツールや柱コマンドを使えば、平面図を描く感覚で2Dと3Dと両方の属性をもったハイブリッドの状態で作図ができ、すぐに3Dモデルとして空間を確認することができます。視点を切替えることで、1つのファイルで図面とパースの行き来ができるため、あらゆる角度からプランの確認をすることが可能です。

インテリアの場合、元々空間ありきでデザインすることが多いので、渡された図面を3Dでトレースすることにより、構造による元々の空間の見え方が確認でき、その中での空間の仕切り方や高さの違いによる視線の検討など、イメージをすぐにビジュアルとして確認することができます。

3Dモデルの活用

3Dモデルにすることで、ウォークスルー機能を使って視線の動きに合わせた空間のつながりを確認することができます。また、テクスチャなどを設定する前にHDRI環境光を使用して白模型風にレンダリングをすると、リアリティのある光の効果や全体のボリューム感を検討することができ、プランの見直しや、仕上げ前のプレゼンテーションにも使うことができます。また、空間のイメージに合わせて家具などのプロダクトを作成することがありますが、その場合でも3Dでデザインを考えモデルを作成し、シートレイヤとビューポート機能を使って2Dに展開することができるため素早く図面化することができます。

プレゼンテーションのテクニック

プランニングやシミュレーションで使用したデータをブラッシュアップして、プレゼンテーションにも活用できます。配置するパーツが多いと、プランの修正に合わせてテクスチャを変更することが大変になるため、効率よく作業ができるよう「木目」などの素材ごとにクラスでテクスチャを管理しています。2010バージョンから搭載されたデカール機能は、曲面のある壁面にサインを表現したり位置を検討するのにもとても便利で嬉しい機能です。

光源は種類の特徴を活かして

光源設定は、誰もが苦労されているところかと思います。コレという決まりがあるものではないのですが、私は、ベース照明→ウォール照明→点光源→平行光源の順で設定を行なっています。

照明器具の種類に合わせた光源をシンボルとしてあらかじめ用意しておき、ベース照明、ウォール照明などプランに合わせて配置します。種類順に配置し、それぞれの効果を見ながら光源の調整を進めます。シンボル機能を利用すると、1つだけ設定を直せば配置済みの光源がすべて変更できるので便利です。

点光源は、全体の明るさ調整のために使用します。最後の平行光源は、どうしても暗くなりがちな天井面を明るくするため、「明るさ(%)」を低くした光源を影なしで照らします。また、ファイナルギャザー(2010まで)やバウンス設定(2011以降)でレンダリングをかけるとより柔らかい灯りの表現が可能です。

これはよく質問されることですが、レンダリングエンジンが変わった2011以後のバージョンで、それより前のバージョンで作成したデータを開く際は、光源設定を1.5~1.65倍に修正すると大体同様の効果を得られるようです。過去のデータもそのまま活用いただけますので、お試しください。

添景を利用してデータを軽く

人物や植物を表現するため添景を配置されることがあるかと思いますが、例えばシャンデリアなど複雑な3Dモデルにもこの機能は利用できます。写真をうまく利用すればデータが軽く済むだけでなくレンダリングスピードの軽減にもつながります。

スケール表現のための人物は、添景作成時に透過指定色をグレーにすることでシルエットを透過させることができ、レタッチソフトを使わなくてもVectorworks上で表現ができるようになります。

【講演者情報】

株式会社アイプラフ http://www.aiprah.co.jp/

藁谷 美紀 氏

Vectorworks2012 全国縦断 新製品発表キャラバン(2012年3月)

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