震災直後、2011.3.22アメリカのAEC Software,Inc.(工程管理ソフト『FTS(ファーストトラックスケジュール)』開発元)から、たくさんの救援物資が届きました。
お米やみそ汁、和茶の他、トイレットペーパー、歯ブラシと、日常用品迄が箱にぎっしりと詰まっていました。海外から見た地震と原発のニュースは、東京にいる私たちも大きな被害にあっているだろうと案じてのことでした。震災から2週間たらずの時でしたので、毎日ニュースで映し出される被災地の様子になす術がみつからず、交通の遮断されている中で、この物資をどこに送ればいいか途方にくれていました。
それでも彼らが贈ってくれた日本製品の品々は、私たちに勇気を与えてくれました。
これから復興に向かう中で、私たちが持つCADソフト「Vectorworks」や工程管理ソフト「FTS」が必ず役に立つことができると、 関係者への無償提供とトレーニングを復興支援に掲げ、東北地域の自治体に呼びかけました。
そして、地元で復興計画や復興事業に携わるみなさまへの支援がはじまりました。

AECソフトウエアからの物資は、東京から福島の親族のところへ向かう方に託し、原発被害にあった浪江町の避難所がある、二本松へ届けることができました。
そして6月から、石巻・釜石・大船渡・大槌・気仙沼・陸前高田の被災地を現地の方に案内していただきながら、ソフトのトレーニングをさせていただきました。
津波被害のすさまじさに声を失い、復興が容易ではないことを思い知らされましたが、仮設住宅建設、店舗再開にこれらのソフトを地元の設計者に活用していただき、役立たせることができました。
いわき市、会津若松市、遠野市の仮設住宅では、懸命に生活されている方々の姿に励まされ、原発で帰るに帰れない自宅を残す南相馬市の方、高台移転に希望を見い出しながら思うに進まない実施計画に、いらだちや憤りを抱える方々の悲痛な想いに、私たちは自らの非力を感じながらも、地元の復興に携わる方を少しでも応援したいと活動を続けてまいりました。
復興はこの先、3年5年10年とかかると思います。私たちはこの復興支援を通して知り合う事ができた設計者の方々が地元の人たちの夢を繋ぐ活動でこれからも活躍されることを切に願っています。

復興支援の現場からのレポートは、今回をもってひとまず終了いたしますが、引き続き復興活動に携わる方々を応援してまいります。
大きな復興の槌音を「復興支援現場レポート」としてみなさまにお伝えできる日が遠くないことを祈りながら、被災地のみなさまの一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

 
  平成24年11月1日
エーアンドエー株式会社
代表取締役社長 内田 和子