楽しむこと・作り込むこと・繋がること

株式会社クラスコデザインスタジオ

株式会社クラスコデザインスタジオ

楽しむこと・作り込むこと・繋がること

株式会社クラスコは、デザイン力で不動産価値を高める経営を実践しており、コアとなる不動産事業のみならず、デザインスタジオ、不動産コンサルティング、不動産BtoB事業など幅広く事業を展開している。

武部さんは、クラスコデザインスタジオにて、主に店舗設計を担当しているが、賃貸リノベーション、新築など多岐にわたる物件のデザインプロデュースを行う。また、クラスコデザインスタジオでは「一戸一絵」をコンセプトとしているが、武部さんの手がけるプロジェクトは、まさに「一戸一絵」を表している。

株式会社クラスコデザインスタジオ

Vectorworksは全くの我流

「本当にこの使い方で良いのだろうか?」って常々思ってます(笑)。
Vectorworksに出会ったのは学生時代、それからずっとVectorworksを使っているのですが、マニュアルをほとんど読んだことがありません。読まなくとも試行錯誤で使えてしまうのがVectorworksの良いところなのかもしれませんね。

書籍も読まない、意外にこの世界横のつながりもないので、他のデザイナーがどのように使っているかもあまり知りません。でも、この試行錯誤の期間が自分のオリジナリティーを作ってくれた気がします。

「住まいと暮らしのアイデアセレクトショップ」内観パース

オール DIY

東京でのデザイン事務所勤務から金沢に戻り、しかも不動産業界という違う畑に身を投じてデザインとの関わり方が大きく変わりました。

以前は、店舗設計のみで仕事をしてきましたが、現在ではプロジェクトによって自分の役割は目まぐるしく変化しています。時にはデザイナー、時にはコンストラクター、マネージャー、システム開発担当など、多くの仕事を経験させてもらっております。

本事例の店舗では「DIY」をテーマとして企画から→物件取得→デザイン→設計→施工→商品仕入→広告→運営まで全ての業務を自分たちで行いました。フランスに商品仕入れに行き、時には役所に申請業務に行き、自分たちで施工し、家具を作り、プロモーションしたりと全てDIYで行いました。

今回は、クライアントであり、デザイナーであり、バイヤー、コンストラクターである自分の頭の整理をどのようにつけるかが悩みどころでしたが、Vectorworksを用いてそれらを上手く繋げることができたと思います。店舗ができ上がった際には、3Dで作り込んだ商品までもが現実に陳列されているので、今までに無い不思議な感覚を覚えました。

「住まいと暮らしのアイデアセレクトショップ」内観パース

あれ?もうできたの!?

Cinema 4Dのレンダリングエンジンに変わってから、ほとんどフォトレタッチ作業をしなくなりました。Vectorworks12の頃は、夜レンダリングを実行して帰り、朝来てみると終わってないとか、フリーズしていることもありましたが、今は本当に早くなり表現力も向上しています。

店舗のパースをA3で出力しておくと、同僚から「あれ?もうできたの!?」と勘違いされることが何度かありました(笑)。竣工写真と勘違いしてしまったんですね。工事すら始まっていない案件だったので「いやいや、パースだよ」と言って事なきを得るのですが、それぐらいリアルなパースができあがります。

今まで、テクスチャをほとんど買った記憶がありません。そのかわり、街にでるとテクスチャに使えそうな写真を撮り、収集しています。また、あまり過去のテクスチャを使い回すこともなく、新規物件の場合は新たに収集・作成することが多いです。パースづくりは一作入魂です。そのおかげで、何店舗も出店するような"目の肥えた"クライアントも、納得して契約してもらえます。

「実は何件かデザイン事務所に声をかけて提案をしてもらっていた」と契約後に教えてもらうことが何度かありました。クライアントは、大きな投資をするのですから、収益の出るデザインであることを実感できないと首を縦に振りません。お互いにコンセプトを共有できることは、仕事を一緒に進めていく上でとても重要なことだと感じます。

「住まいと暮らしのアイデアセレクトショップ」内観パースワイヤーフレーム

本当は手描きで図面やパースを描きたいんです

クライアントへはなるべく柔らかいイメージで情報を伝えたいので、本当は図面もパースも手描きで描きたいと思うくらいです。ただし、店舗設計では変更・修正は当たり前で、とにかくスピードが要求されます。変更が来ることが前提で図面を作成しておくことが重要なので、CADの効率化は必須です。それでも図面に柔らかさをだしたい(笑)。そこで、「手描きハッチング」を作りました。色鉛筆で表現したい素材の表情を作り出し、それをスキャンしてハッチング化します。

「住まいと暮らしのアイデアセレクトショップ」平面図の樹木や、駐車場のグラデーション、店舗内のコンクリートの床は全て手描きハッチングです。こうすることで、図面の柔らかさを保ちながら、CADの効率を最大限に利用することができます。

3D⇆2Dはシームレスに繋がっている

「住まいと暮らしのアイデアセレクトショップ」は雑貨店を併設しているのですが、この商品の買付なども手伝います。これら雑貨がどのように店舗に配置されるのかを確認するために、雑貨をモデリングしてしっかりと仮想空間内に配置して確認します。

結構作りこむのですが、決して苦ではありません。平面図でプランを練っている時、「ここどうなるんだろう?」と思えば3Dで確認し、そこから新たな刺激が生まれ、2Dに落としていく。2D、3D関係なくデザインの思考がシームレスに繋がり、最終形態へ纏まっていきます。

BIM的な設計手法も視野に入れてます。しかし、デザインの現場ではインフォメーションも重要ですが、クライアントと意思疎通を図るモデル(デザイン)も重要です。変更・修正が当たり前の店舗設計の場合、インプロビゼーションのようにイメージを投影するには、ある時に図面とモデルを切り離すこともスピード化のために必要です。建築におけるBIMのように、モデルを中心とした設計手法で完結するには、まだ少し研究しなければなりません。

手書きハッチングを用いた図面

私のVectorworksの使い方

パースを作るときに、太陽光設定で平行光源は利用しません。平行光源は綺麗なのですが、少しのっぺりとした表現になってしまう印象があります。私は、太陽光の位置や角度を割り出して、巨大なスポットライトを設置します。こうすると、陰影の深い表情になってくれます。これも試行錯誤の結果ですね(笑)。

それと、パースはレンダリングされた画像が終了ではありません。レンダリングしっぱなしだと、自分の調子ではなく、レンダラーの調子になってしまいます。実際の写真をお手本にして、パースをそれに近づけようと心がける。影がどのように落ちるのか、どこまで光が回り込むのか、情景を見る目を鍛えることがレンダリング上達への道です。

武部 光太郎 氏
経歴
  • 1980年生まれ。
  • 2004年に金沢美術工芸大学卒業。
  • 2004年~2015年の間、東京の設計事務所で都内を中心に日本全国、海外の店舗デザインの設計に携わる。
  • 2015年、株式会社クラスコデザインスタジオ入社。不動産物件のリノベーション、店舗デザイン、家具雑貨仕入、不動産会社向け商品開発を担当。
取材協力
  • 株式会社クラスコデザインスタジオ クリエィティブディレクター 武部 光太郎 氏
  • 記載されている会社名及び名称、商品名などは該当する各社の商標または登録商標です。 製品の仕様、サービス内容等は予告なく変更することがあります。

Vectorworks

2D/3Dのシームレスな作図機能に、彩色豊かなプレゼンテーション、リアルなレンダリングなど、デザイナーの設計環境を支援する汎用CADソフトウエアです。

 詳細 

評価版(トライアル)

Vectorworksの新規購入やバージョンアップをご検討のお客様は、評価版を是非お試しください。使用期限以外、全ての機能をお試しいただけます。

 詳細 

イベント情報

Vectorworksなどエーアンドエー製品に関するイベント出展や、他社主催セミナーのご案内などの情報を掲載しています。

 詳細