ユーザ事例 & スペシャルレポート

リノベる株式会社は、「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」を企業理念とし、誰もが自分のライフスタイルに合った「住まい」と「暮らし」を楽しめるような中古マンション購入とリノベーションサービスを提供するビジネスモデルを構築し展開しています。また、施工会社と設計者のコミュニケーションをより円滑にして効率化を図るためのツール「nekonote(ネコノテ)」の提供も開始し、住まい手だけでなく作り手にも視野を広げたサービスの提供に取り組んでいます。リノベーション事業でVectorworksがどのように活用されているのかをご紹介します。

今回、中古マンションのリノベーション事業で設計を担当しているライフスタイルデザイナーの柏木 一紘(かしわぎ かずひろ)さんと丸山 徹朗(まるやまてつろう)さんにお話をうかがいました。


煩雑な部分を一手に引き受けるワンストップサービス

-リノベーション事業の特徴を教えてください。-

柏木 リノべる株式会社で展開しているのは、中古マンションの物件探しからリノベーション工事、資金計画やローンの相談、引渡しまで一括で対応にあたるワンストップサービスでのリノベーション事業です。一般の方が単独で中古マンションを探してリノベーションを行うとなると業者選定から金融機関との折衝など煩雑な手続きが多く、家を持つまでのハードルが非常に高くなります。ですから、ワンストップサービスで煩雑な部分を一手に引き受けることで、できるだけ気楽にリノベーションで暮らしに合った家を持ってもらうことを目指しています。

リノベーションのプランは4回の打ち合わせで決定

-どのような流れで進めるのですか? -

柏木 お客様は家を探すにあたって、選択肢のひとつとしてリノベーションを視野に入れているという方が多いです。その中で実際にリノベーションするのは弊社のサービスや特徴に魅力を感じていただいた方々です。まずは希望する暮らし方をライフスタイルコーディネーターがヒアリングしながら中古マンションを探すことから始まります。リノベーションの設計は中古マンション購入後で、そこから私たちライフスタイルデザイナーが担当します。ヒアリングの内容と現地調査をもとにプランを検討しますが、4回の打ち合わせですべてを決めます。

丸山 1回につき3時間ぐらいの打ち合わせで、1回目で間取りの方針や仕上げのイメージなどを決め2回目に間取りと電気設備、住宅設備の仕様を決定します。3回目で見積もりを提示し4回目で契約になります。中古マンション購入から約1ヶ月でプランを決定しリノベーション工事着工となります。

中古マンション購入から入居までの期間をできるだけ短くすることが理想

-4回の打ち合わせで決定するのはなぜですか?-

柏木 お客様の費用負担を考慮し、中古マンションを購入してから住み始めるまでの期間をできるだけ短くするために打ち合わせは4回で期間は約1ヶ月としています。その期間内で、スムーズにプランが決められるようにベーシックラインという基準の仕様を決めています。ベーシックラインを基準にして、希望予算やこだわりたいところなどをヒアリングしながらプランを決めていきます。お客様の要望は中古マンションを探す前にヒアリングシートを活用してライフスタイルコーディネーターも聴き取りをします。プラン打ち合わせの前にライフスタイルコーディネーターとお客様情報を共有することで、よりスムーズに打ち合わせが進められるようにしています。

基本的にはお客様と施工会社どちらも同じ図面で対応

-Vectorworksでどのような図面を作成するのですか? -

丸山 まずは現地調査をして既存間取りの平面図を作成します。そこからリノベーション工事の平面図、展開図、仕上げ表、建具表を作成します。平面図は電気図、設備図も作成します。
柏木 お客様に提示する図面と施工段階で現場に渡す図面は基本的には同じものです。やはり、スピードを重視する事業ですので、お客様用と施工会社用と別々の図面を作成するということはしていません。とはいえ、最初にお客様に見せる平面図は写真を載せたり、文字を書き込んだりすることもありますので、そういう図面の作成にもVetorworksは向いています。

Vectorworksは直感的に使える点が魅力

-Vectorworksで使いやすい機能は? -

柏木 学生時代からずっとVectorworksを使っていますが、Vectorworksの図面は簡単に着色でき、写真も取り込みやすく直感的に使えるのでとても使いやすいです。そして、図形なども直感的に描けるのでスタディ段階での使い勝手も良いと感じますし、間取りを検討するエスキスの段階からVectorworksを使うこともあります。リノベーション事業は非常にスピードが求められるのでエスキスもVectorworksで描くことによって効率的に作業が進められます。

丸山 私も学生時代からずっとVectorworksを使っています。縮尺が違う図面をひとつのシートにレイアウトできるシートレイヤ機能はとても便利です。

最初にベーシックラインで完成のイメージを提示

-どのように完成プランをイメージしてもらうのですか? -

丸山 住宅設備機器、照明器具や建材、仕上げ材についてベーシックラインを一冊の冊子にまとめています。例えば、床の仕上げですと廊下やリビングは無垢材でナラのフローリング、洗面所は長尺シート、玄関は土間、洋室はカーペットといったことを決めています。また、あらかじめ3Dでベーシックラインのモデルプランを作成しています。この3Dモデルは、ヘッドセットを使ってVR(Virtual Reality:仮想現実)体験ができるようにしています。

柏木 フルスケルトンで住宅設備機器を全部交換して仕上げはベーシックラインにした場合にリノベーション費用がどのくらいかかるのか、造作もある程度簡易的に価格を決めていますのでプラン検討と同時に概算費用も提示することが可能です。

施工時に発生する問題を想定しながら設計することが重要

-施工段階で苦労する点は? -

丸山 現地調査をしていますが、図面データのない案件がほとんどですので解体すると寸法の差異がでることもあります。そういう場合は施工会社との調整や図面の修正が必要になるので苦労します。ですから、最初の段階でいろいろな想定をしながら進めるようにしています。

柏木 施工は2ヶ月から3ヶ月が平均的な期間となります。調整事項が発生した場合にはその都度スピード感を持って対応しなくてはいけないので、そこは大変ではあります。ですが、案件数も増えて来たのでノウハウのストックもできてきています。そういう意味では、できるだけお客様に費用負担が発生しないような方向で進められるようになってきました。また、施工会社と設計者のコミュニケーションツールである「nekonote」を活用して図面を一元管理することで、伝達ミスによる手戻り作業を減らし施工が効率的に進められる環境も整えています。

機能を最大限活用しスピードと効率を追求する

-Vectorworksを使って今後取り組みたいことは?-

柏木 Vectorworksの経験値やスキルが社員それぞれに違うこともあって、現段階では社内で作成する図面品質の統一化に課題があると思います。そこが解決できれば、さらなる効率化が図れると感じます。そして、まだまだVectorworksの機能を使いこなせていない面もあるので、今後は効率的な描き方を含め社員のスキルレベルの統一と向上が必要だと感じます。

丸山 3Dで作成して、3Dモデルを変更すると取り出す2D図面すべてが更新されるというのは理想です。ですから、リノベーションでBIM(Building Information Modeling)的なことに挑戦できたらと思います。3Dは、パースなども簡単に取り出せますしプランを検討する段階でも施工の段階でも今以上に理解しやすくなり効率化できるのではないかと感じます。

リノべる 株式会社

新規事業部 マネージャー

上野 純平 氏

新規事業部 マネージャー 上野 純平氏よりひとこと

私たちはリノベーションによって新築マンションの3分の2の費用で自分の暮らし方に合った住まいを手に入れ、残りの3分の1でより豊かな暮らしを送って欲しいと考えています。スピードと効率を重視するのは、リノベーション工事期間中にも発生する中古マンションのローン返済や家賃などお客様の費用負担をできるかぎり軽減するためです。今年の5月からは工事内容を透明化することを目指した「nekonote」という施工管理ツールの提供も始めました。Vectorworksの図面も一元管理できますので、施工段階で変更が発生し煩雑になりがちなリノベーション工事でも、施工に集中できる環境整備とさらなる効率化が図れると考えています。


ー取材を終えてー

リノベーションでは、「暮らし方」に合ったプランをじっくり検討するのだろうと思っていたので、ここまでスピード感が重要とは正直驚きました。取材で納得させられることも多く、お客様の満足度をあげるためにもスピードと効率は最優先になるのだろうと感じました。デザインに加えコミュニケーションツールとしてもVectorworksを最大限に活用しさらなる効率化を図っていただけたらと感じます。

エーアンドエー株式会社 カスタマー・リレ−ション課 竹内 真紀子

【取材協力】

リノベる株式会社 http://www. renoveru.co.jp/

東京本社 新規事業部 マネージャー 上野 純平 氏

関内ショールーム ライフスタイルデザイン事業部 チーフデザイナー  柏木 一紘 氏

    東京本社 ライフスタイルデザイン事業部 ライフスタイルデザイナー 丸山 徹朗 氏

(取材:2016年9月)

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