ユーザ事例 & スペシャルレポート

EVOLVE ”〜 進化 〜”をテーマに開催した「Vectorworks 2013新製品発表会 全国キャラバン」にて講演していただいた内容をご紹介します。


私にとってのVectorworks

一言でいうと、Vectorworksは「なくてはならない道具」です。同じことを言われる方が多いと思いますが、Vectorworksはそれだけ使いやすく、しっくりくる道具として思われているためではないかと私自身感じます。事務所設立前はハウスメーカーで設計をしていました。その当時はコスモキャドという大変高額なCADを使用していましたが、MacintoshのMacDrawに出会ったことを切っ掛けに、1993年からMiniCADを使いはじめました。今となっては懐かしい話しですが、こんな小ちゃな画面で設計が出来るのかな?と思って使いはじめたのもつかの間、マウスで線が描けることに驚き感激したことを今でも覚えています。Vectorworksは、建築設計はもちろん、店舗設計やインテリア、家具、什器設計、プロダクト設計と、私のデザインという仕事に欠かすことのできない大切な道具です。

基本設計から実施設計、必要なときに必要な機能がある

Vectorworksは、建築設計においてプランニング、基本設計、実施設計と作業が流れていきますが、どの作業をとっても応えてくれるCADです。大まかなカタチを決める際のラフプランニングでも、常に面積情報をおいながら計画できますし、その図形に高さ情報をいれれば即ボリュームも見ることができます。設計者の欲しいカタチを常に押さえることができる訳です。基本設計はもちろん、その後の建築申請に必要な図面も全てVectorworksで仕上げています。

私の場合、2D/3Dについてはあまり意識していません。2Dが必要なときには2Dの機能が使え、3Dが欲しいときに3Dの機能が使え、当たり前のことがその通り機能として使えることが重要で、ソフトウエアを使い分けなくてよいことが、Vectorworksを使い続けている最大の理由です。また、Vectorworksはデータの互換性が優れている点も良い部分です。DXF/DWGはもちろん、オプションになりますが、JW_CADのデータをイン・アウトできることは、協業する際に大変役立っています。私の設計という仕事は、Vectorworksで完結しています。

3Dモデリングしたものがそのまま図面に

Vectorworksの3Dの機能は大変優れていると思います。また操作も至ってシンプルで、2D図形に厚みを付けるだけで3Dになります。それをZ方向に移動し、積み上げていく感覚です。本棚のようなものは、2Dの正面図を、Vectorworksの視点を前から見るに変更し、モデルメニューの柱状体で奥行きをつけ立体モデルを作成することができます。さらに、Vectorworksでは3Dモデルから図面化をしていくことができます。この部分を少し詳しく解説します。

3Dモデルは先にお話しした方法で作成をします。そのモデルをシートレイヤとビューポートを使い図面化をしていきます。方法としてはとても簡単です。作成した3Dの本棚を正面から見た状態で、Vectorworksのビューメニューの中にある「ビューポートを作成」を実行します。出てくるダイアログでシートレイヤを作成しながらスケールやレンダリング設定(この場合はVW陰線表示レンダリング)などを調整し、OKボタンを押すだけでシートレイヤに正面図が作成されます。簡単でしょ!(笑)

次に、作成された正面図のビューポートを複製し、データパレットから見え方を「前から右」に変更すると、複製したビューポートが側面図になります。出来た図面に寸法を当てる際は、ビューポートをダブルクリックして注釈の編集から採寸することができます。VectorworksのArchitect以上のシリーズでは、ビューメニューの中にある「投影図ビューポート」を実行するだけで、一発で平面図、正面図、側面図、パースを作成できます。このような便利な機能が使えることで、3Dはプレゼンの素材ではなく、図面を仕上げるための素材として使えるのがVectorworksです。

CAD、3Dモデラーとしてだけではなく

Vectorworksにおいて、作図機能以外で私が気に入っている機能を二つご紹介します。一つ目は、ワークシートです。Vectorworksの中には俗にいう表計算ソフトが入っています。このワークシートは優れもので、Vectorworksの図面と連動して集計や積算が可能です。図形やシンボルの数を拾い出してきたり、任意の図形の長さや面積を求めることができます。図形の数や大きさが変われば、ワークシートに設定してある情報も更新されます。

例えば、ワークシートで、柱の数を拾い出す設定がされていれば、図面上で数の変更があれば、ワークシートでも更新することで数が変わります。部屋割りの面積を求める設定がされていれば、大きさを変えるとワークシート上でも面積値が変わります。図面をしっかり描き、ワークシートで拾い出しの設定さえすれば、Vectorworksが自動で集計や積算をしてくれます。

もう一つは、手描き風に表現をしてくれる「スケッチレンダリング(Vectorworks Architect以上が必要)」です。CADの図面は、きっちりかっちりしていますので、初期プレゼンの段階で堅苦しいイメージが先行してしまう場合があります。私はそのような場合、図面やパースを「スケッチレンダリング」をかけて柔らかく魅せています。作成した図面を、Vectorworksのビューメニューからスケッチレンダリングしてみてください。みなさんも一度使ってみるとはまると思いますよ。(笑)線のぶれ方などの設定もすきなように設定ができます。スケッチレンダリングを解除すれば、きっちりかっちりした通常の図面に戻ります。

Vectorworksはあらゆる設計やデザインの道具として使えるデザインツールで、先にも述べましたが、私のデザインする仕事になくてはならない道具の一つです。私は、今後もVectorworksを使い続けるでしょう。

【講演者情報】

株式会社アトリエ樹 http://www7b.biglobe.ne.jp/~atju/

代表取締役 今井 正樹 氏

Vectorworks2013新製品発表会 全国キャラバン札幌(2013.1.19)

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