ユーザ事例 & スペシャルレポート

EVOLVE ”〜 進化 〜”をテーマに開催した「Vectorworks 2013新製品発表会 全国キャラバン」にて講演していただいた内容をご紹介します。


なぜRenderworksなの?

作業の効率化はもちろん、極力コストをかけず納得のいくものを作っていくかを考え、VectorworksとRenderworksを導入しました。使いはじめてから、もう10年以上になります。その間、Vectorworksも進化をしてきましたが、Renderworksも進化をしてきていると感じます。ルーメンやルクスといった実際の光量で光源が設定できるようになったり、線光源や面光源が扱えるようになったり、環境光が使えるようになったりと。最近のバージョンでは、RenderworksにCINEMA4Dのエンジンが採用され、より高速にそして奇麗にCGを仕上げることができるようになりました。このような進化は、私にとって歓迎できる進化であり、とても喜ばしいことでした。

Renderworksを使うメリットを上げるとすると、Vectorworksの操作感のままレンダリングの作業ができる点です。これは、アプリケーション固有の「操作を習得する時間を短くする」ことになります。もちろん、習得の時間が短くなれば仕事全体の効率化につながり、最終的にかかるコストを抑えることにもつながります。設計変更が多く、CG制作を外部に委託することが難しい方にはVectorworksとRenderworksの組み合わせは良いのかも知れません。

レンダリングのスピードが速くなった!

Renderworksはバージョン8のころから使用していますが、驚きの進化がVectorworks2011に起こりました。2011からエンジンが変更され、レンダリングのスピードが格段に速くなりました。これは実際に作業していて実感できたことです。レンダリングの種類にもよりますが、体感として4倍から5倍は速くなったと感じます。仕上げのレンダリングで1時間以上かかっていた旧バージョンのファイルを、2011以上のVectorworksで開き、新しくなったRenderworksで仕上げのレンダリングを実行すると、10分ほどで完了するくらい驚きの進化が起きた訳です。

こうなると仕事の仕方も大きく変わります。以前では、仕上げのレンダリングは、本当に最終の提出物を作るときに実行をしていました。ですので、素材などの仕様変更が発生するだけで本当に泣きた思いになっていましたが、今では、そんなことも苦になりませんし、何度でも自分の納得のいくまでレンダリングを掛けることができます。Renderworks2013からはバックグラウンドレンダリングが搭載されたということで、レンダリングを掛けながらモデリングもできるということです。私の場合、それだけでも仕事の効率化が図れると思います。

新しいエンジンになったRenderworksの使用感と表現方法

VectorWorks+RenderWorks2008で制作したデータを最新のVectorworks+Renderworks開くと、エンジンが違うこともあり若干の修正が必要になってきます。色温度が低く感じる場合もありますので、背景放射光と照明に設計した光源自体の明るさを修正することで光の調整はほぼ終了です。感覚として、光源の明るさは、以前の1.5倍くらいの強さにしてあげると同じような明るさになります。

今回の店舗CGのような場合、背景放射光の光量を若干増やし中光色にし、壁面に開口部がないことから環境光はOFFにしています。ベースライトやスポット光源はスポットライトツールを使用しています。また、それぞれの光源にソフトシャドウのオプションを有効にしています。ソフトシャドウを使うことで、影が出始めの箇所はラインがくっきりと次第に遠くなるにつれ影が柔らかく表現されます。実際の影の表現に近い機能が搭載されていることも嬉しいですね。

テクスチャ設定はほとんど手を加えていませんが、レンダリング結果の比較をすると、Vectorworks+Renderworks2008と2011以降では、高いクオリティーの仕上がりで、このままでも十分にラフとして提出することができるのではないかと思います。線光源は、間接光源を表現するのに良いのですが、デフォルトの設定のままではうまくいかないことが多いです。そこで一工夫。先ず、間接光源と使用する場合、影を付ける必要はありません。また、形状のレンダリングも見えない部分に使用することが多いため必要ありませんが、今回のようにギリギリで見えてくる場合には、形状のレンダリングをするのも良いかもしれません。

次に質感の調整に移る訳ですが、格段にクオリティーが高くなったRenderworksですが、やはりデフォルトのテクスチャ設定ではリアルさに限りがあります。よく見るとコンクリート打ち放しの床が白く飛んでいたり、壁面のレンガ風仕上げが、のっぺりとして白いクロスの部分との差が表現できていなかったり、化粧板の木材につやが無いため見た感じが単調だったりと。

しかし、それでも若干の加工次第でより良くする改善できる点があります。レンガ風のテクスチャーとコンクリートは、それぞれ立体的に見せるため「バンプ属性」からテクスチャと同じ画像を指定して、ブロックの目地やコンクリのざらざら感をテクスチャとして表現を付加しました。梁に使用している木材のテクスチャでは反射属性をあたえることで、ダウンライトの光の写り込みが表現されます。

スチールの質感についてもメッキ加工の様な鏡面仕上げとヘアライン仕上げとがあり、それぞれに数値を調整することで、微妙な質感を表現することができます。看板やサインのような光る面については、以前はコンスタントという光の影響と関係なく単純に白くなるテクスチャを利用していましたが、新しいRenderworksではグローという属性があり、疑似発光するあたかも面が光っている表現が可能なテクスチャを利用することができるようになり表現も幅広くなりました。

また、イメージマスクを利用することで、商材をより自然にパースに加えることが出来ます。商材の写真については、実際の店舗で利用している物を現場調査の時などにできるだけ正面から写真に撮っておくことをおすすめします。探せば、フリーの画像等もありますが、私の場合、その店舗で実際に販売している物(商品)をパースに取り入れることが大事だと思っています。

私にとってのVectorworksとRenderworks

CGを作る場合、奇麗さや美しさはもちろん欠かすことのできないものですが、これに加えてスピード(速さ)も大きな要素です。CGを作るといっても、3Dのモデルがあることはなく、図面から3Dを作成しなくてはなりません。Vectorworksの場合、CAD図面から立体にしていくことができ、そして、3Dの機能が豊富で使いやすく、私にとって手に馴染んでいます。Vectorworksは2Dの図形に奥行きを与えることで、簡単に3D化することができますので、図面からパースに仕上げていくスピードは速いと思います。店舗の場合、CADデータは、ほとんどがmcd形式かvwx形式のVectorworksで作ったデータが送られてくるので、ストレス無く開けることも重要なポイントですね。そういう意味でもVectorworksは業界標準なんだなと感じます。(笑)私の場合、速く奇麗な納得のいくCGをつくる道具がVectorworksとRenderworksなのです。

【講演者情報】

studio Moat club

代表 堀部 裕美子 氏

Vectorworks2013新製品発表会 全国キャラバン名古屋(2013.1.18)

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