ユーザ事例 & スペシャルレポート

日本工学院は、「理想的教育は理想的環境にあり」という考えのもと、最新の施設・設備を備え7カレッジ35学科103の専門分野を展開する日本有数の総合専門学校です。蒲田駅から徒歩2分の好立地にある都市型の日本工学院専門学校と約38万㎡の雄大なスケールの日本工学院八王子専門学校にてOASISにご加盟いただいています。

今回、2010年の春に、最新施設・設備を備えた地上20Fの新校舎が完成した蒲田キャンパスを訪問し、建築設計科、建築デザイン研究科を担当され、Vectorworksの前身である「MiniCad+」から操作経験をお持ちの橋本英章先生にお話をうかがいました。


-どんな授業でVectorworksを使用していますか?-

建築設計科と建築デザイン研究科のCADの授業でVectorworksを使用しています。建築設計科は卒業と同時に二級建築士の受験資格が得られる二年制の学科です。CAD(Vectorworks)の授業は必修で、1年生で二次元を、2年生で三次元モデリングまで学びます。そして、建築設計科を卒業した学生が建築デザイン研究科(前期課程1年、後期課程1年)に進学します。建築デザイン研究科では、さらにVectorworksを学び、ライティングのテクニックや、基本的な理論と効果など、外部講師も招き、より専門的でレベルの高い授業を行っています。

-CADの授業はどのような内容からスタートするのですか?-

1年生はパソコンに慣れ、CADに抵抗感を持たせないためにOffice(ワード等)からスタートします。自己紹介シートや展覧会の案内状をワードで作成しています。講師が写真などの素材の提供をしますが、写真のチョイスや必要な情報の入力、会場地図のダウンロードなどを独自に行って簡単なDTP制作を行います。最近では高校の授業でもパソコンがかなり普及していて、ワードやパワーポイントの操作経験のある学生も多く、授業開始早期から抵抗なくVectorworksに入れるようになってきました。

-どんな授業をどのような教材を使って行っていますか?-

1年生の最初の授業では、例えばマウス操作に慣れるための練習課題で、ランダムに複数配置された図形の端点を押さえ、ある一点に移動していき、完成するとクジャクが羽を広げたような予想していなかった図形が描けたり、青海波(せいがいは)などの日本の文様を図形ユニットと捉えて、どのようなコマンドを使ってどう展開したらすばやく奇麗に描けるか、ということを考えさせるなど、興味を持たせ楽しみながら学ばせることを考えた独自の教材を使って授業を行っています。三次元モデリングでは、専任教員と講師がミースやコルビュジエ等の有名な建築物を立体化する独自の教材を用いて教えています。

-他のソフトとの連係はありますか?-

2年生の後期の授業では卒業制作を控え、前半でプレゼンテーションについて教えています。この中でAdobeフォトショップの使い方、例えば模型写真を最終的にCADのレイアウトの中に取り込むときに画像の調整やエフェクトのかけ方などを教えています。基本として、それらをVectorworksに取り込むということです。

-CADの授業に対する学生の反応はどうですか?-

CADの授業は課題も多いのですが、人気が高く、放課後も残って課題制作に取り組んでいます。楽しいから夢中になり、わからないことを仲間で教え合ったりしていることも多く、非常に前向きに取り組んでいる姿が印象的です。時々、学生からは「なぜうちの学校のCAD授業はVectorworksなんですか?」という質問をされます。

-「なぜVectorworksなんですか?」学生からの質問に対する回答は?-

やはり、使いやすいということです。Vectorworksは一本の線を描き始めるところから二年間勉強し、習得するのにふさわしいCADです。2Dからモデリングをして、テクスチャマッピングをしてレンダリングまで、すべてひとつのソフトでできることが最大のメリットといえます。私自身が設計事務所で勤務していた時の経験談も交えて、Vectorworksを二年間しっかりやることで、他のCADもすぐに応用が利くと考えていますし、そのように学生にも説明しています。その説明に学生は一様に納得しているようです。

-CAD授業以外でVectorworksを活用していますか?-

設計製図の授業でも積極的にCAD(Vectorworks)を活用しています。1年生の後期に住宅の課題があり、CADの授業で学んだテクニックを自分の創作する課題でやってみるという意味で、CADの活用を勧めています。手描きでも良いのですが、最終プレゼンテーションを考えるとCADを使った方がクオリティの高い作品ができるメリットはあります。そう言った意味ではVectorworks学生単年度版の存在は非常に魅力的です。

-デザイン教育でCADをどのように活用していますか?-

製図の授業は、考えてきたエスキスを先生に見せ、クリティックを受けてさらにエスキスを進めるというやり方です。考え方は色々あると思いますが、私自身はエスキスはまず手で描くことが重要と考えています。それを視覚的に見ることで、さらに考えをまとめ、整理できると考えますし、その部分はCADには向いていないと思います。建築やデザインは、まず頭の中にできあがっているものを外に出し、確認し、発展させていくことの繰り返しであると思うので、その部分でCADに切り替えて行く方が能率的だと感じます。

但し、単にCADを清書の道具として使うのではなくて、入力したデータを活用することに意味があると考えています。今までは、手描きの図面やパース、模型など別々に作成し、設計していたものが同時に多角的にできるのが、CADすなわちVectorworksを使うメリットだと思います。また、最近の学生は、三次元モデルの投影図を立面としてアウトプットするなど、二次元三次元について頭で考えずにCADの良さを使いこなしているようにも感じます。

-建築系学科の取り組みは?-

建築デザイン研究科では在学中に二級建築士を取得することを目指している他、スタジオでの取り組みとして、コンペ応募やインターンシップ参加などを積極的に行ってきています。その他、産学連携プロジェクトとして企業と共同で店舗設計を行った事例や、商品開発を行った事例などもあります。毎年2月には、「ものづくりフェスタ」と題した学外での卒業制作展としても大々的に行っています。学生時代の集大成として取り組んだ作品を学内で審査し、優秀作品を表彰しています。これらの他にも様々な国内外のコンペ、コンテストやプレゼンテーション等にVectorworksを活用していきます。

-山野大星 副校長から-

日本工学院八王子専門学校
副校長/テクノロジーカレッジ長
山野 大星 氏

教育として大切なことは、学生が興味を持ち、満足感を得ながら能力を高めることと考えております。特に、CADは人気の高い授業で、使用ソフトのVectorworksは様々な業務の企画から実施設計、プレゼンテーションまですべて行えるすばらしいソフトだと思います。
2011年春から建築デザイン研究科は、四年制の建築学科に生まれ変わります。四年制の学科になることで、大学院に進学できる高度専門士の学位が取得できると共に、放送大学との併修により学士号(教養士)の取得も可能になり、今後も理想的な環境で、魅力ある授業により、学生一人ひとりの可能性を最大限に引き出していけたらと考えております。

【取材協力】

日本工学院専門学校/日本工学院八王子専門学校 http://www.neec.ac.jp/

建築設計科 建築デザイン研究科 担当 専任教員 橋本 英章 氏 (一級建築士)

(取材:2010年7月)

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