ユーザ事例 & スペシャルレポート

製造設計や機械設計では、ミドルレンジCADやハイエンドCADなどのCADソフトウエアで行うのが主流となっている今、産業機械メーカーである株式会社野田テックが、Vectorworksで設計を行っています。Vectorworksがどのように活かされ、また、製造現場でVectorworksがどのように関わっているのかをご紹介します。

お話を伺ったのは、代表取締役社長の野田 雄之(のだ かつゆき)さんと、岡山工場工場長の野田 和義(のだ かずよし)さん。Vectorworksをとことん活用するその方法を伺います。


3DCADをVectorworksにした理由

なぜVectorworksを選択したのですか?

もともとは、3Dレーザー加工機の導入が前提でした。これからの製造業で可能性や将来性があるのが、3Dレーザー加工機と判断したのですが、メーカーの提供するレーザー加工機と連動する2Dと3DCAD・CAMを含むシステムが約1,000万円とあまりにも高額でした。この3DCADをVectorworksに変えることで、大幅なコストダウンにつながると考えた訳ですが、当時のVectorworksのバージョンでは、IGES形式でのデータ受け渡しとなってしまい、部品の完成精度が落ちることが分かった訳です。

諦めかけていた時に、Vectorworks2009がParasolidベースになる案内をいただき、即導入を決めました。製造の現場では、Parasolidデータ形式でのやり取りがベストとしていることもあり、ParasolidベースのCADが必須条件でした。Vectorworksのバージョン2009からParasolidデータ形式もサポートするようになったことは、製造現場においてはとても重要なことですし、大変助かっていることでもあります。

Vectorworksだからこそ可能なワークフロー

Vectorworksで設計を行った結果、メリットと感じることは何でしょうか?

今までは、大阪の設計本部が2DCADで設計したものを工場へ流し、加工を行っていましたが、Vectorworksでの3D設計と3Dレーザー加工機の組み合わせにより、作業全体で多くのメリットが出てきました。

1つ目として、現場での設計フローが確立したことです。現場で設計し、レーザー加工機でカッティングから組み立てまで、一貫したフローが可能となり、時間的にもメリットが出てきたことです。

2つ目として、レーザー加工機の導入により、プレス機械などにかかっていた人工を、他に使うことができるようになったことです。データ入力をして加工機をスタートすれば、後は自動でカッティングしてくれますからね。会社として弱かった部分へ人材投与ができるようになり、会社の基盤強化につながっていることも上げられます。

3つ目として、総合的なコストダウンにつながっていることです。例えば、試作品の作成行程で過去の業務行程を少しお話しすると、外注がメインであったため、図面をメール添付して納品まで2~3日かかり、1つで十分なのに、10個単位での発注と無駄が多かったりしました。今では、Vectorworksと3Dレーザー加工機のおかげで、外注はほとんど無くなり、自分たちが思うものが欲しい時に欲しい数で作成できること。すなわち、工期と工賃が大幅に押さえられていることは、非常に大きなメリットとなっています。

4つ目として、ソフトウエアのコストを下げられた点です。ハイエンドCAD 1ライセンス揃えるのなら、同じコストでVectorworksを複数ライセンス揃えられてしまいます。コストパフォーマンスは、断然Vectorworksのほうが良いですから。

CADデータからCGを作成する理由

機械系の設計においてCGが必要であると、あまり思わないのですが。

確かに機械や製造設計にはCGが、今まではあまり重要視されていません。しかし、機械や製造設計においては、既に3Dでの設計が当たり前の世界となっている中、その3D設計モデルをそのままCGに生かそうと考えた訳です。写実的なCGが可能となっている昨今、CGをカタログ制作の材料としても利用できます。それを可能にしているのが、Vectorworks上でCGが可能なRenderworksです。従来のカタログ制作では、試作機(現物)を写真に納め作成していました。裏を返すと、現物がなければカタログや販促物を作成できない訳です。これが、CGを使うことによって、設計と同時にカタログや販促物作成が進められる点は、コスト削減や時間短縮につながっており、非常にメリットがあると感じています。

設計するだけでない魅せるためのVectorworks

Vectorworksの他の使い方としてはどのようなことがありますか?

Vectorworksには、データベース機能が標準でついています。CADの中で作成したモデル部材の数量拾い出しや、面積や体積の拾い出しも可能です。この機能は、ただモデルデータを作成するだけでなく、部材・在庫の管理や材料発注に大きく貢献しています。無駄が極力少なくできる訳です。

また、先にCGのことを触れましたが、カタログの校正や販促物のデザインは、実はVectorworksで行っています。マシンの組立図やCGを、図面や文字情報と合わせ校正し、PDFで書き出し、入稿もできる訳です。この時点では、CADという言葉を超えてしまっている訳ですね。トータルのデザインツールという言葉の方がしっくり来るかもしれません。

操作性の良さが特徴のVectorworks

Vectorworksを使っての設計業務はいかがですか?

レーザー加工機が3次元の加工機ですから、CADも3Dでなくてはなりません。そうなった場合、操作性、特にオペレーションのし易さが課題となる訳です。ハイエンドCADの場合、専門性が高く、操作や機能を習得するまで時間がかかります。特にソフト利用について研修期間等が必要であったり、サポートについても現場で実施となることも多く、社員に多くの負荷がかかります。

その点、Vectorworksの操作性の良さは群を抜きます。2D図面から3Dモデルを作成することは当たり前で、その逆の3Dモデルからから2D図面化することも可能です。使う人が自由に決められることも助かっています。3D加工機の特徴でもある3Dカットができるのも、3DCADがあるからこそと思いますし、Vectorworksはそれを現実のものとしてくれます。

3Dで作成加工するから発想も3Dで

Vectorworksと3Dレーザー加工機を利用するメリットは?

例えば円柱のパイプ1本を軸にもう1本の円柱パイプがぶつかる交点のカット図を2Dで描こうとした場合、もちろん平面的な図面で作成しなくてはならず、実際にカットした場合、後からの加工や溶接が大変でした。

これが、Vectorworksの3Dモデリング機能では、いとも簡単に作成ができ、さらにそのデータをParasolid形式でシームレスに渡すことができます。結果、3Dレーザー加工機が現物のものとしてくれます。CADを含め3Dで考え実現できる仕組みは、弊社にとって理想であり、求めていたものでもあります。

プラットフォームを選ばない設計環境を提供するVectorworks

野田さんは、Macintoshで設計を?

社内ではWindowsで設計するものもいますし、自分みたいにMacで設計するものもいます。Vectorworksは「OSにとらわれないCADソフトウエアである」ということが、個人的にも気に入っているところです。

更に、Macで作成したデータをWindowsマシンのVectorworksで編集もできますし、その逆のこともできます。設計者の設計環境を問わないCADということは強いですね。Vectorworksは、バージョン2009からMacで稼動するParasolidベースの唯一のCADソフトです。

Vectorworksを活用したこれから

Vectorworks上で部品や部材の詳細なデータベース化を行い、設計・生産していくことは真っ先に取り組みたいことですし、現場にどう落としていくかという点が課題でもあります。ただ、Vectorworksの導入をきっかけに、設計や業務のワークフローが大きく変わり改善が行えたことは事実であり結果として見えていますし、それ以上に、社員のモチベーションが上がり、1人当たりの生産性が上がった点は会社として非常に評価しています。今後は、Vectorworksの活用をさらに拡げ、会社全体のワークフローをブラッシュアップしていきたいと考えています。

【取材協力】

株式会社野田テック http://www.nodatec.co.jp/

代表取締役社長 野田 雄之 氏
岡山工場工場長 野田 和義 氏

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