" 建築,プロダクト,舞台設計 "をキーワードに「Vectorworks Solution Days '10」開催。


 
12月2日(木)、3日(金)、東京 原宿クエストホールにて「Vectorworks Solution Days'10」が開催されました。

会場では、Vectorworks開発元Nemetschek Vectorworks社による、Vectorworks2011の新たな方向性についての講演をはじめ、基調講演には建築家・石上純也氏をお招きし、開催初日は「建築」、2日目は「プロダクト・舞台設計」をキーワードに多彩な特別講演が行われました。
また、展示ゾーンではVectorworks2011シリーズ、各種ソフトウエアや最新鋭のソリューション機器、OASIS加盟校学生作品等の展示が行われ、特別展示としてVectorworksで設計されたプロダクト作品も展示されました。会場は多くのユーザや各業界関係者が多く来場し、賑わいを見せた2日間となりました。
 


     
  What's New Vectorworks BIM & レンダリング  
  Nemetschek Vectorworks社 CEO ショーン・フラハティ氏  
 
 
Nemetschek Vectorworks社
CEO ショーン・フラハティ 氏
 

2日間を通してトップバッターとして、Vectorworks(R)開発元のNemetschek Vectorworks社、CEOのショーン・フラハティ氏が登場。
まず、今年の8月25日付けで"Nemetschek North America,Inc."から、"Nemetschek Vectorworks,Inc.(以下、NVW社)"に社名変更したことについて触れ、「我々はVectorworksで最もよく知られていますが、ブランドを社名に取り入れることで、我々の使命と強みをより鮮明にすることができたと考えています。」と製品作りに対する新たな決意を表明しました。

次に新たに登場するバージョンについて「“Vectorworks2011シリーズで、ユーザの期待以上のものをお届けする “をコンセプトに、170以上の新機能、拡張機能を追加しました。これによってVectorworks2011はどんな方にも気に入っていただけるものに仕上がっています。」と新バージョンへの自信を覗かせました。

次に、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)ソリューションとしても改良を続け、オープンスタンダードであるBIMの動きをサポートしていることを解説、「openBIMとは、IFCをベースにしたワークフローによって、専門家それぞれが分野に適した好みのツールを使ってもデータ共有することができ、図面の調整管理に費やす時間を最小限にできます。そして、デザインや設計により多くの時間を使うことが可能になります。」と説明しました。さらに、新しいIFCの互換性をよりサポートするために、buildingSMARTインターナショナルが今年の春に設立し、Nemetschek社(NVW社を含むNemetschekグループ各社)、Autodesk社、Bentley社などが参画している動きを説明しました。
また、Vectorworksを中心とする連携の一つとして、Vectorworksと構造設計CAD:Scia、設備設計CAD:DDS(Data Design System)を使用し、AIA(アメリカ建築家協会)のIPD(Integrated ProjectDelivery)方式に準拠したケーススタディを紹介、「日本にはまだないワークフローとはいえ大変興味深い作業方法でありプロジェクト中に生成されたIFCのファイルなどすべてがホームページ(http://www.nemetschek.net/bim)から閲覧ダウンロードできます。」と、Vectorworksを利用したopenBIMへの活動とその重要性を解説しました。

 


そして、Vectorworks2011の革新的な進化として、Maxonとのパートナーシップを結び、RenderworksにCINEMA4Dのレンダリングエンジンを搭載したことを発表。「CINEMA4Dの強力な64ビットレンダリングエンジン搭載により、新バージョンのRenderworksは以前から最も熱望されていたレンダリング速度が世界最速に、出力品質も劇的に向上し、よりリアルな影やテクスチャなど大規模なシーンのレンダリングもメモリ不足になることはありません。
また、作成したモデルデータを直接CINEMA4Dへ送信することもできます。」と熱く語りました。

そして、Mac Book Proで制作した事例を映し出し、「これは単一のプロセッサでレンダリングした興味深い例です。CINEMA4Dのレンダリングエンジンはプロセッサの追加に比例して速くなります。16プロセッサマシンが最も速く、シングルプロセッサよりも15倍の速さになる可能性もあり、レンダリングの世界でも極めてすぐれていると言えます。」と高速マシンパフォーマンスへの期待を解説しました。

最後に、既に新バージョンがリリースされている世界中のユーザから、新しく追加された多くの機能への驚きの声を紹介し、「新バージョンは長年ユーザから望まれた要望も取り入れると共に将来的に必要な機能の追加や改良を行い、これまでにない最速の売れ行きをみせています。必ず気に入っていただけるでしょう。また、先週には英国のConstruction Computing誌のProduct of the Year賞をVectorworks2011が受賞しました。これは英国政府に対してのチーフ建設アドバイザーであるPaul Morell氏から授与され、今回の受賞によって新バージョンが優れたものであることの賞賛になったと思います。」と述べ講演を終了しました。

 
     
  【初日基調講演】自作について  
  石上純也建築設計事務所 代表取締役 石上 純也氏  
 
 
建築家 石上 純也 氏  

1日目午後の基調講演では、「自作について」と題して、ベネチア・ビエンナーレ国際建築展で金獅子賞を受賞された、建築家・石上純也氏が壇上に立ち、9つのテーマでご自身の作品を写真やムービーを使って解説いただきました。

まず、『人工と自然』と題して、2008年のベネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館で行った4つの温室について解説、「自然と人工を等価に扱いたいと思い、また、ジャルディーニ公園の休憩所のような新しい機能も付加したいと思い、つくりました。」と作品に対する想いを語り、「4つの温室は、シャボン玉のようなガラスに包まれることで環境にゆらぎが生まれ、透過する光は違う風景を映し出し、何時間もそこで休憩する人もいて、展示というより休憩所に近かったと思います。」と想いを具現化する手法を披露されました。

次のテーマ『ゆっくり移り変わること』では、周辺環境が工業地帯であまり美しくなかった人工湖水の周辺に公園をつくるレイクプロジェクトを例に挙げ、「人工的な水位の変化を自然に馴染ませたいと考えました。島が浮かんだり、向こう岸が近づくなど、水位の変化で生まれるように、湖岸や地形を少しずつ変化させています。それによって季節の変化を感じるかのように、ゆっくりと景色を変えることが建築でできないかと思っています。」と何枚もスケッチをスクリーンに投影しながら詳細に紹介されました。

続けて、22階建てビルのリノベーションプロジェクトで、500平米にもおよぶSOHOの設計を担当した例の紹介や、 2005年のキリンアートプロジェクトのテーブル製作では、「水面に浮かんでいる紙のテーブルクロスのようなイメージで風景をつくりたいと思いました。」と長さ9.5m幅2.6m高さ1.1mで厚さ3mm程度のアルミの構造計算の手法と製作の状況を詳しく解説いただきました。

『森と建築』では、ランドスケープをつくるかのごとく建築をつくることをテーマとした「KAIT工房」の星つぶのように見える305本の柱が立ち並ぶ平面図をスクリーンに映し出し、「万華鏡のように移り変わる空間を表現したかったのです。」と語られました。監視カメラで撮影したムービーを投影し、均質な空間でないゆえに、狭い場所をわざわざ通ったり、柱に触りながら歩いたりする使う人のさまざまな行動を目の当たりにし、会場は笑いに包まれました。

 
講演の中には、金獅子賞を受賞された作品も紹介され、ベネチア・ビエンナーレのアルセナール街道にカーボンファイバーで列柱をつくった作品を、空間に対する想いや、それから創造する建築手法まで紹介されました。

そして最後に、現代美術館で行われた空間に関するグループ展の作品「四角いふうせん」を取り上げ、「どこにも繋がれていないので空気の動きなどで少しづつ、ゆっくり動きます。人でも簡単に動かせます。抽象度の高い構築物と思いますが、ある意味空を眺めるような開放性とやわらかさをつくっていきたいと思っていて、そういう捉え方は今日説明してきたぼくの作品に共通しているかなぁと思います。」と空間作りに対する想いを改めて披露され講演を終了しました。


講演終了後には、石上氏の著書「plants & architecture」の販売会とサイン会が行われ、長い行列ができる中、石上氏は一人一人に笑顔で対応し、サイン会も大好評のうちにも終了しました。

 
   
     
  【初日特別講演】アーキテクチャとアーキテクチャー  
  吉村靖孝建築設計事務所 代表取締役 吉村 靖孝氏  
 

初日の特別講演には、2010年グットデザイン・中小企業庁長官賞受賞など数々の建築作品を手がけている建築家 吉村靖孝氏が登場、「アーキテクチャとアーキテクチャー」と題し、ご講演いただきました。

 
建築家 吉村 靖孝 氏  

初めに「アーキテクチャはコンピュータ用語、アーキテクチャーは建築用語です。今日はそれらがどう関係するのかお話したいと思います。」と話し、学生時代に関わった仙台メディアテークのコンペ計画案をスクリーンに映しながら「これは好きな場所で本を借りて好きな場所で返すという提案です。空間として担保すべき検索性能をコンピュータに任せ、建築は意図しなかった場所に出会うようなことになれば良いのではと思いました。それが"コンピュータ"と"建築"の棲み分けではないか、という話を当時していました。」と学生時代からこの2つの関係について考えていたことを説明しました。

次に、現在参画しているオランダの建築家集団MVRDVが、世界中から建築家を集めて計画中の都市に多様性を持たせようというプロジェクトを例に挙げ、「もともとヨーロッパの街並は統一性があって、逆に日本の街並はバラバラです。」「ヨーロッパは多様性を、日本は統一性を目指して都市計画が行われています。」と世界と日本国内との建築への考え方の違いを紹介され、「日本のバラバラに見える街並は、ルール(法規)の見えない線がつくっているのではないかと思い、“超合法建築図鑑”という本を書きました。」と自身の著書を書いた経緯について説明しました。
そして斜線制限で建物が斜めに切られた例や日影規制を回避するためにキリンの首のようになった建物に法規の補助線を入れた写真で、その形状が生まれた法規を詳しく解説、参加者の興味をひいていました。
そして、航空法によって140mを超えて建設できない品川のビルの例を挙げ、その解決策として空港の滑走路を300m高くし、ビルを高層化して4棟を2棟にした例をスクリーンに映し、「建築は基本的に法規の制限を受けますが、都市の潜在的容積率を発揮するために、逆に法をデザインするイメージで取り組めたらという例です。」と法規はその性格を逆手に利用することによって様々にデザインできることを解説されました。

 

さらに、『市場×建築』では、「市場に何か働きかけることで、建築にデザインされる市場があるのではないか?と考えました。」と、コンテナサイズで建設したベイサイドマリーナホテル横浜の例を挙げ、「コンテナのネットワークを利用し建築が変わるのではないか考えています。低コストとするためにタイで生産したコンテナサイズの完成品をコンテナ船で運び、日本での工事は最小限にしました。稼働性があるので、他の敷地での転用も可能です。」と工事の様子を映像で紹介し、次に画一化された住宅が立ち並ぶカナダの例を映し、「建築家が住宅は何かということに関わろうと思ったら、生産や流通の仕組みに踏み込まざるを得ないと思っています。」と建築を超える領域や知識への踏み込みも必要ではないかと参加者へ訴えました。

最後に「建築は規制力を受け入れるだけでなく、規制力を発揮するについて考えることで新しいデザインに繋がる可能性があるのではないかと思っています。例えば、建築家にとって建築写真はアーキテクチャ的なものかもしれないと思います。あるいはCADです。建築をつくる時の唯一無ニのツールになりつつあるので、それがどう作られるかで建築が変わるかもしれないとも思います。建築にかかる規制力に注目することによって、建築の可能性を少しづつ広げていけたらと考えます。」と建築に対して目線を変えることによって見える、新たな建築の可能性を訴え講演を終了しました。

 
     
  【2日目特別講演】ヒューマンセンターデザインを実現するVectorworks  
  テコデザイン有限会社 代表 柴田 映司氏  
 
 
テコデザイン有限会社
代表 柴田 映司 氏
 

2日目、午後最初の特別講演では、「プロダクト」をキーワードにテコデザイン有限会社の柴田映司氏より「Human Centered Design(ヒューマンセンタードデザイン)を実現するVectorworks」と題し、ご講演いただきました。

柴田氏には「Human Centerd Design」 というコンセプトでVectorworksでデザインされた「HAND CYCLE」に乗って会場に登場、まず最初に、ご自身も出品された西麻布のギャラリーle bainで開催された「デザインハート2010」の様子や、若洲公園のミュージアムで行われたワークショップの様子などをムービーと写真などでご紹介いただきました。
また、2007年の著書『VW Designs』の紹介とともに「この本を書いた際、Vectorworksがプロダクトのモデリングに使えることを確信しました。」と強調され、開発中のペットや医療、福祉関係の商品、さらにはVectorworksのプラグインソフト「育形」を使ってデザインした数々の作品をスクリーンに映しVectorworksの可能性の高さを強調しました。

次に、今回参加したハンドサイクルプロジェクトに対して、「使いやすい物は積極的に使うという意味で『Human Centerd Design』があります。人間のエゴではなく人間性を大切にしたデザインです。」と人が中心にあるデザインが、結果使いやすいデザインであることを解説され、「最終的な目標はもので幸せになれたらということで、4つの視点、福祉、情報、環境、人間関係があって、それが『Human Centerd Design』であり『HAND CYCLE Design』です。」と強い想いを熱く語られました。
そして、このプロジェクトのメンバー、町田氏(発案者)と宇賀神氏(ビルダー)との出会いと3人の想い、2009年11月30日にこのプロジェクトがスタートするまでの経緯を詳しく解説いただき、日本には気軽に乗れる『HAND CYCLE』が無いことや、自転車は非常に厳しい規格があり、多くの問題をクリアしなければならなかったこと、特殊な工具を使った組み立てはメカニックのプロの方に協力をいただいたことなどを詳しく解説いただきました。

 

次に、Vectorworksで描いた図面をスクリーンに映しながら「簡素化したものもありますが、パーツはすべてVectorworksで描きました。この図面をもとにVectorworks上で組み立て、機構の干渉チェックなども行っています。実際の組み立てまでの道のりは険しく、試行錯誤の繰り返しでした。」と、シートのデザインにあたっては車椅子の勉強もし、苦心の末に組み立てまでこぎ着けた話を何枚もの図面やムービーとともに解説いただきました。
さらに、「第二弾ではもう少しさまざまな改良を加えたいと思っています。実際に作ってみての失敗は発見です。そして、発見は進化です。発見の旅はまだまだ続き進化にゴールはないのです。」と熱く語られました。3人は3輪(TRINITYは「三位一体」=「3つで一つの実体をなす」)で、同じ志を持って、前進(DRIVE)することを目的として「TRINITY DRIVE」というブランドも立ち上げたことをロゴとともに紹介いただき、プロジェクトメンバーのお二人をご紹介しました。

宇賀神氏(ビルダー)
「町田氏が初めて『HAND CYCLE』に乗った姿を見た時に、これこそがものづくりの原点であると感じました。僕もその瞬間心の底からものづくりは楽しいと思いプロジェクトに携われて良かったと感じました。そして「TRINITY DRIVE」はまだ走り始めたばかりです。これからも走り続けますので来年も再来年もさらにパワーアップした僕らをみていただけたらと思います。」

 
左から町田氏、宇賀神氏、柴田氏  

町田氏(発案者)
「発案した町田です。3年半ほど前、事故で体に損傷をおった直後から『HAND CYCLE』の実現を考えていました。病院に担ぎ込まれて指一本動かない時がありました。医者には一生このままだとも言われました。これは私の欲望の固まりです。こんな身体になっても自転車に乗りたいという欲望がこれをつくり出したと思います。欲望はあながち否定する物ではないと思いました。」

最後に完成した『HAND CYCLE』を3人がとても嬉しそうに乗る姿が映し出され、心温まる映像とご挨拶で会場内は感動に包まれ、講演は終了しました。

講演終了後には会場内のお客様も『HAND CYCLE』に試乗をし、その乗り心地の良さを体感、また、柴田氏の著書「VW Designs」のサイン会も実施されました。

 
     
  【2日目特別講演】劇団四季の舞台をささえるVectorworks  
  四季株式会社 技術部 音響 吉田 常夫氏  
 

2日目最後の特別講演は、四季株式会社の吉田常夫氏に「劇団四季の舞台をささえるVectorworks」と題し、舞台設計についてご講演いただきました。吉田氏は、約30年にわたり音響業界でご活躍され、1995年にはMeyer SoundのSIM エンジニアのライセンスを取得、1996年からライオンキングを初め、劇団四季の数々の作品の音響を担当していらっしゃる音響のプロであり、古くからのVectorworksの使い手でもある舞台設計におけるキーマンです。

 
四季株式会社
技術部 音響 吉田 常夫 氏
 

最初に、劇団四季について解説、全国に9つの拠点劇場を持ち、一日に約11公演、年間で約3000ステージを上演し、来年の1月には札幌に新たな劇場がオープンすることをご紹介いただきました。

次に、公共ホールでのセットの仕込み中の様子を写真を交えながら解説、「これはCAT'Sという、ノラ猫の生活が描かれた作品です。スピーカーはセットに隠していますが、どこにスピーカーがあるかわかりますか?」と問いかけ、セットと一体化したスピーカーの位置が示されました。さらに、「CAT'Sはメインスピーカーの他にも猫の鳴き声が前から後ろに聞こえるためだけのスピーカーなど、合わせると約120台にもなります。」との説明に会場からは感嘆の声が漏れました。

次に、MIniCadを使っていた頃からずっと描き貯めたアンプ、エフェクター、プラグや機材を入れるための金具など数千アイテムに及ぶ機材のシンボルをご紹介いただきました。「誰が見てもそれぞれの作品でどんな機材を使ったか分かるようにしたかったので、メーカーのロゴなども入れています。」と特に初期のシンボルはメーカーロゴをドットで描くなどその作成にまつわる苦労話なども織り混ぜてお話いただきました。
そして、今劇場で使っているスピーカーメーカーがMeyer、BOSE、D&B、L-ACOUSTICSなどで、最新作「マンマ・ミーア!」ではフランス製のスピーカーを使っていることも説明され、「照明などはVectorworksのライブラリ−が充実していますが、音響は少ないように感じます。音響のシンボルデータの共有ができるようなものをエーアンドエーさんで考えていただけるとありがたいなという気がします。」というVectorworksへの要望も話されました。

次に、日本で2002年に初演され、電通四季劇場「海」で12月12日(日)から上演予定のABBAの楽曲をベースにした「マンマ・ミーア!」の舞台図面や写真を映し、「海外作品は音響、照明、舞台美術、コスチュームすべてバイブルと呼ばれる書類が海外から送られて来ます。」「送られてくる図面はVectorworksのケースがほとんどです。音響も照明もデザイナーのとても細かい指示があって、それに基づいて舞台製作が行われます。」「時代とともに作品も進化します。スピーカーの性能や機材も変わりますから、初演の際使った図面ではなく2010年版の図面として再度図面を送り直しています。」と、最初に出来上がる大道具の図面をスクリーンに映し、スピーカーや照明の位置などすべて図面に入れ、装置部で一つの図面にすることなどを詳しく解説いただきました。

 

また、劇場内の音の分布をシミュレーションするソフトで検証した音圧が色分けされた図面やデータ結果を何枚か映しながら「僕の意見としてはVectorworks内で音の分布のシミュレーションができ、スピーカーの角度などもわかるととてもうれしいです。こちらはアメリカのメーカーのシミュレーションソフトでVectorworksの図面をDWFで変換して貼付けています。」と2つのメーカーのシミュレーションソフトを解説いただきました。さらに、「マンマ・ミーア!」の第一幕からシーン毎の図面と写真とともに、セットがプログラムで動くことなど細かく解説していただきました。

そして、最後に3Dとシミュレーションについて「今は前もってさまざまな検証がVectorworks上などでできるので、現場に行ってから設計図を描いて物をつくりなおして...ということはほとんどなくなりました。私自身3Dの活用はタワー設置の検証など部分的ですが、最終的には3Dで全て描けるようにVectorworksのスキルも進歩させたいと思います。」と話され、講演を終了しました。

 
     
  Vectorworks デザインBIM -開催初日-  
  エーアンドエー営業部 BIM・環境デザイン推進課 佐藤 和孝  
 
 
BIM・環境デザイン推進課 佐藤  

初日の壇上に立った佐藤は、「BIMとはなんでしょう?」と切り出し、「よく言われるRevitでしょうか?…Revitは、BIMではありません。それではMicroStationでしょうか?…これも違います。そしてArchiCADでもありません。」、「それでは、私どものVectorworks、これがBIMなんでしょうか?」「Vectorworks…これもBIMではありません。」と前置きし、「これらはBIMを実現するためのツールでしかありません。」と説明。

 

「BIMとは、簡単に言えば建築のプロセスの事です。」と、建物が建つまでのライフサイクルを如何に効率的に行っていくか設計者自身が実践してこそ、BIMとなりうる事を解説しました。

そして、このライフサイクルの中に点在する個々の設計者、クライアント、維持管理者など、異なるニーズを持った人々が共通して利用できるフォーマットとしてIFCが必要である事を説明。IFCビューアで表示されるVectorworks-IFCファイルを利用して、詳しく解説しました。
このIFCを利用できる各意匠、設備、解析CADが連携するBIMの新たな動きとして、"openBIM"があり、その有効性を含め、さまざまな事例などを交えてこれからのBIMのあり方などを詳しく解説しました。

 
     
  Vectorworks シミュレーション -開催2日目-  
  エーアンドエー開発部 上席研究員 木村 謙  
 
 
  開発部 上席研究員 木村

開発部 木村からは、「私たちは“デザイナーの武器”すなわち、強みや道具となるものをつくっています。」と述べ、Vectorworksを利用した各業界のシミュレーション事例等を紹介しました。基本的な建築法規シミュレーションとして、Vectorworksプラグインソフト「SHADOW」,「VOLUME」,「天空定規」を紹介し、さらに高度なシミュレーションとして「サーモレンダー」の特徴を解説しました。

 
SimTreadによる
渋谷駅前交差点の再現シーン
 

さらに歩行者をシミュレートするソフト「SimTread」について、渋谷の交差点での事例や、デパート初売りでの群衆移動事例など、これまで困難だった”人の流れ”を見える化することの有効性を解説しました。

さらに、東京消防庁の「優マーク制度」の申請に際し利用可能な「東京消防庁認定避難計算算定方法」として認定されたことも報告しました。最後に開発を続けている「Growing Object」を使ったワークショップ例を紹介、アルゴリズミックデザインと新たな発想の可能性を披露し講演を終えました。

 
     
  Vectorworks2011 新機能ダイジェスト -開催初日/2日目-  
  エーアンドエー販売推進部 販売推進課 塩澤 茂之  
 
 
販売推進課 塩澤  

開催2日間にわたって行われた販売推進部 塩澤による新機能ダイジェストデモンストレーションでは、冒頭「Vectorworks2011は、ユーザ様のご要望をふんだんに取り入れ、170以上の新機能を搭載し、皆様の期待以上のバージョンに仕上がっています。」とVectorworks2011への期待を見せ、「今回は、5つに絞ってご紹介します。5つと言っても充実した内容です。」と、"テキスト"、"3D設計環境の進化"、"パフォーマンス"、"BIM支援機能"、"レンダリング"の主要なテーマを中心にVectorworks2011の解説を始めました。

まず、「テキスト機能」では、あらゆる視点における文字編集時のリアルプレビュー機能やテキストスタイル設定を解説、テキスト編集がより快適で効率的になったことを紹介しました。

 
  (上) 新搭載のスラブ作成機能
(下) 一新されたRenderworks
続いて「3D設計環境の進化」として、ワーキングプレーンの設定がより簡単になり、2Dなみに簡単に3Dが扱えることを紹介、「3Dパフォーマンスの向上」では表示スピードの向上を、Architect以上で使える「BIM機能強化」では、新搭載されたツールにより、スラブ作成や壁の詳細表示が柔軟に行えることが紹介され、来場者の目を引きつけていました。

そして2011の大きな目玉の一つRenderworksについて、「従来ライトワークス社のエンジンを搭載していたRenderworksが、64ビットのCINEMA 4Dエンジンを手にしました。」と紹介、その結果、飛躍的にスピードアップしたレンダリングのデモンストレーションが行われ、さらにソフトシャドウの光源で手元はくっきり遠くがぼやけ、よりリアルな効果を得られることも解説、品質面からも劇的に進化したことが紹介されました。

最後に発売予定の新商品ラインナップとパッケージデザインが披露され、2011年1月14日(金)から発売開始となることが発表されました。また、発売同日より東京六本木ヒルズを皮切りに、全国9都市で新製品発表キャラバンを開催することをお知らせし、デモンストレーションを終えました。

 
     

A&Aソフトウエア/Vectorworksソリューション/ユーザ作品展示/OASIS加盟校作品展示

   
 

展示ゾーンでは、Vectorworks2011をはじめ、Vectorworks関連製品をご紹介するA&Aコーナー、高速なワークステーション、目にも優しいモニター、大判のプリンターなど実機を体感できるコーナーなど、Vectorworksソリューション機器が勢揃いしました。発表間近の「Vectorworks2011シリーズ」が展示されたコーナーは新機能についてより詳しい説明を求める来場者の方々が列をつくり、スタッフの声とお客様で熱気に溢れました。

 
   
 
(上)説明を行うスタジオ・ハーフ・アイ 高島 肇 氏
(下)ダンガイオー [スタジオ・ハーフ・アイ]
HAND CYCLE [ TRINITY DRIVE ]
 
 

さらに、特別展示として、TRINITY DRIVEの「HAND CYCLE」、スタジオ・ハーフ・アイのガレージキット「ダンガイオー」など、「プロダクト」分野でのVectorworksの魅力が伝わる作品展示コーナー、学生作品展など多くの賑わいを見せていました。
また、ご来場の皆様に講演の合間や展示コーナをご覧になった後に「ほっと一息」できる場所として、カフェ「SweetJam」も出張出店しました。どのコーナーも多くの来場者で賑わいをみせた2日間でした。

 
     
 
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